林 千尋

父が土木系の仕事をしていた関係で、自然と建築業界に興味を持ち、大学では建築学科で建物の構造について専門的に学んでいました。大和ハウス工業に入社を決めたのは、ハウスメーカーとしてだけでなく、ゼネコンとしての機能を持ち、さらには環境エネルギー事業の推進など、多角的な展開をしていること、そして、どの領域でも「建物」に軸足を置いていることが理由です。見積は一言でいうと、「建物を建てるのにかかる総金額」を算出する部署です。図面上から数量を読み取ったり、図面上に記載のない仮設等の金額を積み上げたりします。予算や納期に制約がある中で、お客様のニーズに合った意匠や機能、品質の実現、そして自社利益の確保など、あらゆる要素を踏まえて最適なコスト算出を行うことが役割です。

見積を進める中で調整が必要であれば、営業担当にお客様への交渉を依頼したり、設計担当に「こちらの仕様の方が、予算を抑えられます」といった提案をしたりすることも珍しくありません。営業、設計をはじめ、資材を仕入れる購買、施工管理など、部署の枠を超えたメンバーと協力してプロジェクトを進行していくことが求められる仕事です。また、手掛ける物件は、オフィスや店舗、物流倉庫、データセンター、幼稚園など、多岐にわたります。様々な物件の見積を通じて、幅広い知識・経験を得られる環境です。

数十億円、ときには百億円クラスの見積を担当することもあり、一つの案件に多くの人数が関わります。新入社員時代は関係部署との連携が思うようにいかず、「期日までに、回答が得られない…」といった苦労をすることがありました。そこで心がけたのは、一方的に要求するのではなく、相手の事情や状況を汲み取ることです。先回りして懸念点を解消しておく。相手がどんな仕事をしていて、なにを大切にしているのかを想像する。そう意識することで、少しずつ周りの反応や対応も変わっていきました。そして次第に、プロジェクト全体をスムーズに進められるようになった気がします。

見積の仕事は、技術や知識はもちろんですが、それ以上に周りを巻き込むコミュニケーション力が大切なポジションなのだと感じています。そして、たくさんの仲間と一緒に導き出した答えが、お客様の満足度にも、自社の利益にも直結していく。そんな大きなやりがいを感じられる仕事です。いまはまだ漠然としていますが、将来の目標は、仕事での成長も、プライベートでの充実も諦めない人生にすることです。幸いなことに大和ハウス工業には、経験豊富な上司も、建築における各分野のスペシャリストも、子育てをしながら活躍するロールモデルとなる先輩もいます。そんな周りのみなさんの力を借り、沢山のアドバイスもいただきながら、私にとって“最適な人生の答え”を導き、歩んでいきたいと思っています。