子どもと一緒に絵本の世界を楽しみ、家族の時間を豊かにするには?
読み聞かせの専門家、絵本作家として活躍中の、聞かせ屋。
けいたろうさんにお話を伺いました。
家族のふれあいの時間に絵本を読まれる方は多いと思います。読み聞かせというと、抑揚をつけて演技を交えながら、楽しく読まなくてはいけないと身構える人もいるかと思いますが、絵本の読み聞かせにお芝居は必要ありません。演技をしたり声色を変えたりすることにこだわる必要はなく、自然に読むだけで楽しさは子どもに伝わります。親子で楽しみながら読めばそれで十分なのです。もちろん、時には派手に演出するのもいいでしょう。読み手も一緒に楽しみながら読めば、子どもも楽しくなってきます。何より自分らしく読むことが読み聞かせを楽しくするコツ。子どもを膝の上に乗せてでも、寝転がってでも、絵本を手にしてふれあっている、その時間が大切です。
また、読み聞かせの際は表紙から裏表紙まで全てのページを見せて楽しめたら良いですね。絵本作家たちは裏表紙や見返しの部分にもきっと、魅力的な工夫をしています。文章には書かれていないことを、親子で一緒になって見つけていくのも絵本の楽しみですよね。見れば見るほど発見がある絵本。親子で話し合いながらじっくり楽しむのもおすすめです。
絵本はいつでもどこでも楽しめるもの。リビングでも、寝室でも、タイミングや場所に決まりはありません。よく「寝る前に読むのが良い」と言われたりしますが、重要なのは、子どもが読んでもらいたいタイミングで読むことです。絵本を子どもの目にふれる、手に取れる場所に置くと、子どもは読んでほしいタイミングを伝えやすくなります。リビングに家族共有の本棚を作り、子どもの手が届く段には絵本を並べてみたり、寝室にボックスを置いて数冊の絵本を入れておいたり。本棚に差しておくのではなく、表紙が見えるよう並べておくと興味を示しやすいでしょう。
やはり子どもが求めるのはぬくもりやふれあい。絵本自体も魅力的ですが、親子で一緒に絵本を読むという行為が一番の魅力なのだと思います。
「絵本」の「絵」は、糸へんに会うと書きますよね。つまり、「出会いを糸で結んでくれる本」なのではないかと私は考えています。親子はもともとつながっているものですが、それをさらに結んでくれるものではないかと思います。漫画や小説は一人でも読めますが、「聞く側」と「聞かせる側」が生まれるというのは絵本の魅力の一つでしょう。年長・小学生になり文字が読めるようになってきても、「読んで」と言われれば読んであげましょう。人に読んでもらうほうがきっと面白いのです。
絵本がもたらす家族のかかわりは、子育ての大きな味方になるでしょう。絵本という出会いのきっかけを活用して、子どもと向かい合う時間を楽しんでほしい。「読んでもらう」「読んであげる」というふれあいを、子どもだけでなく大人にも感じていただきたいです。
読み聞かせを楽しむ
ポイント
「上手く読もう」と意気込む必要はありません。自分自身も楽しみながら読み聞かせると、自然と抑揚がつき、子どもも楽しみながら聞くことができるはずです。
読んでほしい本を子どもが選びやすいよう、手の届く場所に数冊の本を並べておくとよいでしょう。イーゼルスタンドなどを使って表紙が見やすいように並べるのもおすすめです。
アドバイス
聞かせ屋。けいたろうさん
子どもから大人まで幅広い世代に絵本の魅力を伝える、聞かせ屋。日本全国で読み聞かせ、絵本講座、保育者研修会の講師を担当。元保育士で絵本作家としても活躍。一児の父。著書に『どうぶつしんちょうそくてい』(アリス館)、『たっちだいすき』(アリス館)など。
2019年5月現在の情報となります。