子育てにおける、絵本の読み聞かせが果たす役割とは?
読み聞かせの専門家、絵本作家として活躍中の、
聞かせ屋。けいたろうさんにお話を伺いました。
保育の現場で絵本を見ない日はないと言われるほど、子ども達は絵本が大好きです。絵本の魅力は読み手と聞き手という関係を生み出す点にあります。お父さんやお母さん、保育園・幼稚園の先生が、自分のために声を響かせお話を読んでくれる。その行為自体が子どもにとっては、とても嬉しいことです。家庭での絵本の時間は、親子のつながりを育む時間とも言えるでしょう。共働き世帯の増加など、親子のコミュニケーションが減っている中でも、絵本を通した子どもとの触れ合いを大切にしてほしいですね。
また、年長さんや小学生に成長した子どもが「絵本を読んでほしい!」と持って来ることはありませんか。字が読めるようになったばかりだと、文字を読むことに一生懸命で、絵や物語を楽しみきれないのです。読んでもらうことによって、子どもは絵をじっくり見てさまざまな発見をしながら、物語を楽しめます。「自分で読めるでしょう?」と断らず、読んであげられたら良いですね。
一般的に絵本に初めて触れるのは、生後6か月からと言われますが、生後3か月でも読み聞かせに反応する赤ちゃんはいます。言葉が分からなくても、楽しい気持ちは赤ちゃんにも届きます。初めての絵本にお勧めなのは、0~2歳向けの「赤ちゃん絵本」。一緒に寝転がったり、向かい合ったり、膝の上に座らせたり、いろんな姿勢で自由に楽しんでみてください。
海外では赤ちゃん絵本は言葉や色、形を教える初等教育の本として扱われることも多いですが、日本の場合は親子の関わりを生み出すものが主流です。指をさしたり、くすぐり合ったり、顔を見合ったりと、スキンシップが生まれる工夫が多くみられます。例えば、『たっちだいすき』※1はハイタッチをしながら楽しめる絵本。『ぶう ぶう ぶう』※2では親子で一緒に「ぶう」と声を出して読み進められます。ば行、ぱ行、ま行など、赤ちゃんが発しやすい両唇音が多用されるのも赤ちゃん絵本の特徴です。赤ちゃん絵本で、親子の楽しいひと時を過ごしませんか。
※1『 たっちだいすき』聞かせ屋。
けいたろう 文、ひろかわ さえこ 絵
(アリス館)
※2『 ぶう ぶう ぶう』
おーなり由子 文、はた こうしろう 絵
(講談社)
聞かせ屋。けいたろうさん
子どもから大人まで幅広い世代に絵本の魅力を伝える、聞かせ屋。日本全国で読み聞かせ、絵本講座、保育者研修会の講師を担当。元保育士で絵本作家としても活躍。一児の父。著書に『どうぶつしんちょうそくてい』(アリス館)、『たっちだいすき』(アリス館)など。
2018年8月現在の情報となります。