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生活を考える

ワンオペ育児を何とかしたい!乗り切る方法や家づくりのコツを紹介

家事・育児が夫婦のどちらか片方に偏り、不満やストレスの原因となることもある「ワンオペ育児」。
何とかしたいと思っていても、どうしても負担が偏ってつらいと感じることも多いかもしれません。

そこで今回は、ワンオペ育児・家事を解消する暮らし方の工夫や家づくりのコツについて、
ご自身も兼業主夫としてワンオペ育児を乗り越えてきた、堀込泰三さんにお話をお聞きしました。

ワンオペ育児とは?
パパとママで家事・育児にかける時間に大きな差

近年、共働き世帯が増加していますが、家庭での育児や家事にかける時間は、日本ではまだまだ夫婦間で差があるのが実情です。特に、ほぼ一人で育児を担っている状況を、ワンオペレーションでの育児=「ワンオペ育児」といいます。育児や家事が夫婦どちらかに偏ってしまうと、責任を一人で背負うことにより負担感・孤独感が強くなり、家族関係に長期的な影響を及ぼしてしまうこともあります。

2019年のコロナ禍以降、在宅勤務を導入した企業が増えましたが、これまで会社で働いていた方が家にいる時間が長くなったことで、食事や掃除などの手間が増え、家事の負担感が増えたと感じる方も多いようです。「家にいる大人が増えるから、家事・育児はラクになる」とは限らないのです。

東京都がまとめた2021年度の「男性の家事・育児参画状況実態調査報告書」では、子育て世代の家事や育児、介護にかける時間は女性が計8時間54分(1週間の平均)に対し、男性は計3時間34分。女性の方が家事・育児に倍以上の時間を費やしていることからも負担が偏っていることがうかがえます。

コロナ禍の前に実施された前回の調査から女性は20分増えた一方で男性は1分しか増えておらず、コロナ禍によってむしろ、家事・育児の負担が偏っているのではないでしょうか。

出典::「令和3年度男性の家事・育児参画状況実態調査報告書」2021年11月 東京都生活文化局

ワンオペ育児の乗り越え方!
家事育児を楽しくするための工夫とは

家事や育児も仕事と同じように「やらなければならない」ことの連続です。ワンオペ育児になってしまう要因はいくつか考えられます。例としては下記のようなものでしょう。

  • 夫婦どちらかの仕事量が多く、家事・育児に充てる時間が取りづらい
  • 両親など近親者に頼りづらい(親や親戚が遠くに住んでいる、関係性が希薄など)
  • 夫婦どちらかが子育てに参加する意識が希薄
  • 家が手狭で仕事がしづらく、どちらかは出社したり外で仕事をしたりしている
  • 家事や育児を全部夫婦で頑張ろうとしている

やることが多いと、どうしても負担を感じてしまって、精神的に前向きになれないことがあるのは仕方がないことでしょう。しかし、その苦労やつらさを経験するからこそ感じられる、やりがいや楽しさもあります。

普段から育児に向き合い、試行錯誤することで達成感も得られますし、何より、わが子の成長を目の当たりにしたときに大きな喜びが感じられ、より育児に対するモチベーションが増すでしょう。家事と育児は密接に関わっていますから、夫婦二人で協力していくことが、子育ての大変な場面も乗り越えることにつながります。

ワンオペ育児を乗り切るために、どのような工夫を取り入れると良いのでしょうか。ここからはいくつかの方法をご紹介します。

写真などをディスプレイしてコミュニケーションのきっかけをつくる

子どもの成長や変化は早いもの。そこで、家族写真を壁にかけたり、お絵かきしたものを飾ったり、学校行事の思い出を掲示したり…と、いつでも思い出にふけることができるものをディスプレイしておけば、ふとしたときの会話の糸口になります。

家族の恒例行事や思い出のもののディスプレイこそ、一人で考えるのではなく、夫婦二人でアイデアを出せるとより面白く、楽しくなることでしょう。さらに、子どもも成長とともに、たくさんのアイデアを出してくれるはずです。家事・育児は大変なことは言うまでもないですが、楽しいものに変える工夫を取り入れるのがおすすめです。

家事や育児は夫婦のものという共通認識を持ち、一人で抱え込ないようにする

「育児・家事をストレスなく、平等に」を理想とするならば、夫婦両方が主体性を持つことが大事です。「これは相手の方が得意だから」「普段から相手がやっているから」と、任せきりにしたり、指示を待ったりするのはよくありません。「キッチンペーパーのストックがないから仕事終わりに買って帰ろう」「今日は急な仕事で忙しそうだから、保育園の連絡帳は自分が記入しよう」など、状況をよく見て自主的に動き、協力し合うというイメージです。

家事・育児を分担するというよりも、みんなでシェアするという発想が大事です。現在ワンオペ育児をやっている方もそうですが、育児にあまり関われていない方も同様です。

パパ友、ママ友のコミュニティを活用する

日頃の悩みやストレス、疲れをため込まず、同じ立場の人同士で分かち合うことも大切。子育て中は子どもと二人きりで、長時間意思疎通ができないということもあるため、孤独感や精神的なつらさを感じがちです。

育児の話は同じ立場の人同士でないと分かりづらいものですから、情報交換や悩み相談ができる友だちをつくることをおすすめします。近所の児童館や子育てセンターなどに出かけるのも良いでしょう。人気のある保育園や遊び場など、子育てに欠かせない地域独自の情報も手に入ります。

とはいえ特に男性の場合、女性よりも育児に参加する方はまだ少ないため、子どもと2人だけで出かけたときに、周囲の人から悪気なく「パパだけですか?ママは一緒じゃないの?」などという言葉を投げかけられたり、周りは女性ばかりだったりすると、モヤモヤ感や疎外感を抱きやすい傾向にあります。

しかし、「子育て」という共通の話題があれば話しやすいもの。女性たちの中には入って行きづらい、と感じるかもしれませんが、女性同士であっても最初は他人同士で緊張しているのは同じこと。勇気を出して声をかけてみましょう。

家事代行やベビーシッターなどのサービスを利用する

夫婦で全部やる必要はありません。時には周りの方や外部のサービスを頼ることも大切です。数時間だけでも息抜きをつくることで、気持ちがラクになるでしょう。

在宅ワークを積極的に活用する

在宅ワークができる環境の方は積極的に活用することをおすすめします。例えば、通勤時間の往復2時間を家族との時間に充てられると考えれば大きなことです。これまでの仕事偏重だった暮らしを少し変えて、家族との時間を増やすことは、大変だと思うこともあるかもしれませんが、とても幸せな時間に感じられるでしょう。

加えて、会社でも子どもや家事のことをよく話すことをおすすめします。「積極的に子育てをしている人」と認識されることで、仕事との両立もしやすくなります。

ワンオペ育児を解消する住まいづくり

ワンオペ育児を解消するためには、意識を変えたり、コミュニケーションを増やしたりという工夫も大切ですが、家づくりの工夫も大切です。

家事に関わる部分は、「初めて使う人にも分かる」状態を目指す

例えば、家事用品や日用品のストックの収納方法は、SNSや収納特集を組んだ雑誌、収納の本などを参考にすると良いでしょう。収納の見やすいところにラベルを貼るなどの工夫をすると、何がどこにあるか分かるため、家事に参加しやすくなります。

在宅勤務がしやすい環境をつくる

在宅勤務を積極的に活用するためには、働きやすい環境を整えることが必要です。特に課題となるのが音。外の音が聞こえてしまうと仕事に集中しにくくなりますし、子どもを静かにさせるのは難しいものです。

そこで、これから家づくりを考える際は、防音室の設置を検討するのも一つの手段。テレワーク用の部屋としても気兼ねなく使えます。

快適ワークプレイス

また、書斎として一部屋用意する場合は、リビングの隣室にしたり、室内窓を取り入れてセミクローズドな空間を設けたりすると、スキマ時間などに子どもの様子を見ることができます。そのほか、透明なスライドドアで仕切るだけでも、ある程度の音はカットできるでしょう。

家族みんなが使いやすいよう水回りの高さなども工夫する

従来の住宅では、キッチンカウンターなどの高さは女性が料理をすることを前提に高さが決められてきました。このため、身長が高い男性の場合は使いにくく腰に負担がかかってしまう場合があります。キッチンの理想的な高さは「身長÷2+5cm程度」といわれています。とはいえ、実際にモデルハウスで体感するなどして、ちょうど良いものを選ぶのがおすすめです。身長が低い子どもが作業をするときはステップを置けば調整できます。

キッチンの高さ参考:幸せなキッチンをつくろう!

育児・家事を「見える化」し、家族全員で共有できる家に

夫婦が育児・家事をシェアし、子どもが成長したら子どもも含めて家事をシェアしていくには、育児・家事の状況を「見える化」することも有効だといえるでしょう。

誰が何のために・どのようなことをしているのかを見て、理解することで、必要なことややり方を理解し、家族全員が家事を自分事化することで動けるようになります。

子どもの成長や変化を見越した間取りにする

そこで、ダイワハウスでは、子どもの成長段階によって住まいの役目が変化することに着目した住宅をご提案しています。0歳〜6歳頃の「すくすく期」は、家族の見守りやコミュニケーション、家事動線の効率を特に重視した間取りです。

子育てしやすい住まい

食事の準備や片付け、洗濯などをしやすいように水回りを配置する/立つ時間が長いキッチンを中心にダイニング、リビングを見えやすい位置にする/おもちゃ遊びやお昼寝にぴったりのタタミスペースを設ける…など、さまざまな工夫が備わります。

親子間でのコミュニケーションだけでなく、夫婦間でもお互いの様子が見えることで、分からないことがあったときに、聞いたり教えたりしやすいというのも魅力。見える化し、フォローし合うことで、家事の時短につながる、というメリットもあります。

家事をシェアしやすい住まいにする

また、ダイワハウスでは家事を家族全員でシェアしやすい「家事シェアハウス」を提案。服の脱ぎ散らかしや手紙・学校のお便り類の整理などの、「名もなき家事」による負担を軽減していけるとともに、家族全員が自然と家事に取り組める工夫が備わっています。家族それぞれのスペースが用意された「自分専用カタヅケロッカー」を設ければ、子どもたちが幼い頃から「自分のものは自分で管理する」という自立心を育むことができます。

家事シェアハウス-名もなき家事のお悩みを解決する家-

特に0歳〜6歳くらいまでは子どもに手がかかり、慣れない育児で孤独な気分になる方も多く、ワンオペ育児・家事になりやすい時期です。この頃に育児・家事シェアの仕組みをしっかりつくることが大切になるでしょう。

まとめ

今回のコラムでは、「夫婦で育児・家事をシェアしてワンオペ育児を防ぐ方法」についてお伝えしました。育児・家事のシェアには夫婦両方が当事者意識を持つことが大切ですが、実際に動きやすくするための工夫や環境づくりも大切です。そのため、住まいづくりも重要になってきます。ぜひ今回の記事を参考に、ご家族で話し合ってみましょう。

Profile

堀込 泰三さん

All About『男の子育て』ガイド。東大卒!在宅で働きながら2児を育てる兼業主夫。2022年8月時点で15歳と11歳の男の子を育てる兼業主夫。長男誕生時に2年間の育休を取得。その後、妻の海外勤務を経て退職し、在宅で翻訳の仕事を始め、夫妻ともに兼業シュフの「Wシュフ家庭」を実践している。NPO法人「ファザーリング・ジャパン」所属、「秘密結社主夫の友」主宰。

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