キッチンにおいて作業スペースや動線、収納量といった調理における使い勝手はよく話題になりますが、
最近では家族団らんの場やリラックスできる場など調理以外の役割にも注目が集まっています。
今のキッチンに求められていることを探るべく、アンケートを実施しました。
調査時期 | 2023年7月21日~7月30日 |
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調査対象 | My House Palette メールマガジン会員 |
有効回答数 | 454件 |
調査方法 | My House Palette メールマガジンでのアンケート |
Q1.ご自宅のキッチンについて当てはまるものはどれですか?
あらかじめ備え付けられたキッチンを使っている方が多いものの、「指定のメーカーから選んだキッチン」「自分で探して選んだキッチン」「リフォームして入れ替えたキッチン」を足し合わせると、3.5割の方がご自身や家族の好みをキッチンに反映させているという結果になりました。
Q2.ご自宅のキッチン空間について、不満に感じている部分について教えてください。(複数回答)
78%の方がキッチン空間に何らかの不満を抱えていることが明らかに。不満を抱えている方の割合は、Q1で「標準装備で設置されていたキッチン」と回答した方の8割、「自分で探して選んだキッチン」と回答した方でも、6割に上りました。ご自身で選んだキッチンだとしても、毎日使っていく中で不便に感じるポイントが出てくるのでしょう。
不満の上位に上がったのは「キッチン空間が狭い」(34%)、「収納が少ない」(28%)、「設備が古い」(26%)、「複数人で調理がしにくい」(24%)でした。不満の詳細を見てみましょう。
キッチン空間が狭い
- 全体的に狭いので調理器具を置くスペースがなく毎回調理がしにくい
- 子どもと調理する時は狭く感じる。大容量の冷蔵庫の扉を開けても狭く感じない十分なスペースと、キッチン横にパントリーがあると便利だと思う
収納が少ない
- 電気調理鍋、電気ポット、エスプレッソメーカーなど、当初は想定していなかった家電が増えて置き場所に困っている
- まとめ買いした食品が置けないのが残念。パントリーをもっと広くつくれば良かった
複数人で調理がしにくい
- 独立型なので家族とのコミュニケーションが取りにくく、夏は暑く冬は寒い。収納が少なく、物であふれかえっていて2人で調理するには狭い
- 夫婦でキッチンに立って料理をするが、調理台の高さが合わず、腰が痛くなる。2人で作業するには狭く、水栓も2つあったら同時に野菜を洗ったり食器が洗えたりして便利なのに…といつも思う
その他
- コンセントの位置が遠く、調理家電が届かない。暑くて滝汗が出てサウナ状態
- 照明の位置が悪く、手元が暗くなって作業しにくい
- 予算の都合で、気に入っていたデザインを諦めたことを後悔している。機能的には問題ないのでなおさらリフォームに踏み切れない
- 小さい子どもがあちこちの収納を開けてしまい、刃物もあると危険なので、子どもが手を出しにくい扉などがあったら良かった
キッチンの広さに関わる悩みや収納に関するお困りごとが多く寄せられましたが、詳細を見てみると夫妻や親子で一緒に調理がしにくい、まとめ買いした食品を置く場所がない、買い足した調理家電がスペースをとる…など、近年の社会変化を反映したような不満も多くありました。共働き世帯の増加や家事シェアの概念が広まり、従来のキッチン空間では対応の難しい場面が出てきたのかもしれません。
Q3.キッチンで、主にどのような作業にストレスを感じますか?(複数回答)
ストレスの上位は「排水口の掃除」(37%)、「洗い物」(35%)といった片付けの作業。ぬめりが出やすい排水口の掃除、日々時間がとられてしまう洗い物にストレスを感じるのは納得の結果です。また、「調理器具の出し入れ」、「食器の片付け」といった、収納の問題で起こるストレスも上位にきました。詳細を聞いてみました。
片付け・掃除に関するストレス
- レンジフードの掃除が大変。油汚れ、電化製品、家具の隙間のほこりの掃除も苦手
- 屋外のゴミ箱に移動させる前の、キッチンでのゴミの一時保管にストレスを感じる
収納に関するストレス
- 調理器具がごちゃごちゃになっているため、探すのに手間取る
- キッチンに近い廊下の収納をパントリーとして使っているが、重い物を運ぶのが大変で、調味料などの補充も面倒に感じる
調理に関するストレス
- 調理スペースが狭いので、作業がしにくい
- キッチンが低いので腰が痛くなる
- 間取りが悪すぎて調理中サウナにいるような暑さ
毎日の調理の苦労、食器や調理器具の出し入れ、ゴミの片付け、食器洗いといった一連の作業で、細かなストレスが積み重なっていることが分かりました。
Q4.キッチンでの不満を解消したり、快適にしたりするために、過去に工夫したことや現在工夫していることを教えてください。
キッチン空間を快適にするために行っている工夫を尋ねると、さまざまな意見が寄せられました。
動線の整備
- 食卓をキッチンの近くに移動させて、片付けの動線を短くした
- 鍋やフライパン、天ぷら鍋、蒸し器、やかんなど調理器具がたくさんあるので、それらを置く棚をコンロ前に設置して動線をシンプルにした
収納グッズ・DIYの活用
- ホームセンターや100円ショップで自分なりに組み合わせて調味料や道具を入れる棚をつくった
- リメークシールを貼って自分好みのオシャレな空間になるようにした
- 暑さ対策として、窓に遮熱シートを貼り、小型扇風機を設置した
作業のシステム化
- コンロの汚れは調理が終わったらすぐ拭き掃除。すぐ掃除した方が汚れも落ちやすい
- 狭いので、2人別々の分業制にした
いらないものややらなくていいことの断捨離
- 今のキッチンに収まる範囲の調理器具を厳選し、残りは処分した
- 生ゴミの三角コーナーと水切りカゴを撤去したら掃除が楽になった
リフォーム
- 複数人でキッチンに立つのがストレスだったが、家を建て替えてキッチンスペースを広くしたらストレスから開放された
- コンセントを増設して、アンペア数を上げた
キッチンを快適な空間とするべく、それぞれに実践を行っている様子がうかがえます。しかしながら一方では「諦めている」「収納グッズを購入したが、根本的な解決にならなかった」といった意見もちらほらあり、悩みの根深さが感じられました。
Q5.理想とするキッチンについて、
特に重視する点を3つお選びください。
理想とするキッチンの条件については、「不満に感じているところ」に対応するように「十分な広さがある」(53%)、「作業動線が良く、調理がしやすい」「掃除がしやすい」(同43%)、「収納が充実している」(35%)が票を多く集めました。手間やストレスがかかるキッチンでの作業を、少しでも効率的に済ませたいという願望が表れた納得の結果です。
また、優先度として高くはないものの、「デザインが自分好みである」「キッチン空間そのものの居心地が良い」「明るくて開放的である」「家族とコミュニケーションが取りやすい」を重視する意見も一定数ありました。キッチンの居心地の良さは作業のモチベーションアップにつながりますし、家族が集まれる十分な広さと快適性を備えたキッチンは家族団らんの場や食育の場になるでしょう。
以下は、理想とするキッチンに寄せられた詳細コメントです。「こういうキッチンならもっと快適になるかも」「気づかなかったけれど、こんな着眼点もあるんだ」など、これからキッチンづくりをされる方はぜひ参考にしてみてください。
十分な広さのあるキッチン
- 調理中でも家族が冷蔵庫から物を出したり、お手伝いをしたりとスムーズに作業できる広さ
- 料理の撮影スペース、ノートパソコンを広げることができる広さがあるとうれしい
収納の豊富なキッチン
- 家族が多いので調味料や食品のストックも多く、キッチンに隣接したパントリーがあるのが望ましい。冷蔵庫とは別に冷凍ストッカーを使っているので、キッチンプランニングに自由度が欲しい
- キッチン家電、食器、食材等何でも収納でき、ドアを閉めればすっきり片付く一面全てが収納になっているものがいい
作業のモチベーションがアップするキッチン
- 自分好みのデザインで、おっくうに感じる家事にやる気を与えてくれるキッチンがいい。ダイニングと横並びで配膳を楽にし、家事動線が整ったキッチン
- 身長と作業台の高さが合っていて、見た目もきれいで家事が楽しくなるキッチン
間取り上の位置が考えられたキッチン
- キッチンからテレビや家全体が見渡せることが一番の条件
- 家の中心にキッチンを配置し、他の家事動線も考えられた間取りが理想
- リビングやダイニングとの一体感は非常に重要。料理する時のモチベーションが変わってくる
お手入れのしやすいキッチン
- 汚れても拭けば簡単にきれいになる床、調理家電を常時設置しておける置き場とコンセントの位置
- 掃除しやすく汚れがつきにくい。収納もたっぷり。それだけでストレスが減る
家族のコミュニケーションが促進されるキッチン
- 調理だけでなく、洗濯なども同時進行で行える動線。小さな子どもたちに目が行き届き、家族と会話しながら互いの表情も分かる間取り
- アイランド式のキッチンで、作業中でも室内が見渡せてコミュニケーションが取りやすい
- 動線が広く、家族が自然と集まるようなキッチンにしたい
Q6.キッチンで調理以外に行っていることはありますか?(複数回答)
時にはストレスを伴う調理や片付け。その時間を少しでも楽しくするために、キッチンでご自身の好きなことをするというアイデアも考えられます。そこで、キッチンで調理以外のことを行っているのか尋ねてみると、約半数の方がキッチンで何かしらのことを行っているという結果になりました。みなさんがキッチンでどのように過ごしているのか、詳細を見てみましょう。
家族とのコミュニケーション
- 家族と一緒に調理をして、コミュニケーションの場になっている
- キッチンで調理しながらダイニングにいる相手と会話する
リラックス・趣味
- 家族に気づかれないようこっそりお菓子やアイスを食べる
- キッチンでプランター栽培を楽しんでいる
- お気に入りのキッチンチェアを購入し、ちょっと一休みしたい時に座ってテレビや携帯を見たり、調べ物をしたりする
「ながら」活動
- 調理をしながら、自分自身の軽めの食事や晩酌、動画視聴、音楽を聴いたりしている
- オープンキッチンで正面がリビングのテレビなので、家事をしながらテレビを見ている
- 調理をしながら新聞を読む。コーヒーを飲む
- 焼いたり煮込んだりタイマーをかけて待っている間にストレッチやエクササイズをしている
家族でキッチンに立ってコミュニケーションを楽しむほか、動画視聴や音楽鑑賞、晩酌、エクササイズなど、調理中や待ち時間の「ながら」活動に関するコメントが多く寄せられました。また、ご自身がリラックスできたりする場としてキッチンを活用している声も見受けられました。
テレビを見たり、家族と会話したりといったリビング・ダイニングとのつながりがあるキッチン、作業に集中したりリラックスできるプライベート性を備えたキッチンなど、さまざまな形のキッチンが想像できそうです。
Q7.もしあなたが新築住宅を建てると仮定した場合、キッチンについて気になる点は何ですか?(複数回答)
最多は「費用」(55%)でした。「理想のキッチンをかなえるにはいくらかかるのか。どこまでお金をかけるべきなのか」「物価高で設備費用などの高騰が懸念される」という意見がありました。
次に多かったのが「動線」(40%)で、「コンロとシンク、冷蔵庫、調理家電の配置と動きやすさ」「洗面室、浴室への動線を含めた使い勝手」といった、効率よく作業をこなすためのレイアウトや、他の居室との位置関係について気になるという声がありました。
また、「キッチンが快適でも、その分リビングが狭くなっては困るのでバランスが難しい」「キッチン回りの収納はどのぐらい必要なのか判断が難しい」「平均的なキッチンの広さや、キッチンの種類の違いが分からない」という意見もあり、迷われている様子が見受けられました。工夫を凝らした設備や収納、動線を実際に確認できる住宅展示場・分譲住宅や実例集を見てみると、具体的なイメージが膨らみ、ご自身の要望が見えてくるのではないでしょうか。
まとめ
毎日、それなりに長い時間を過ごすキッチン。調理・片付けのしやすさは第一であるものの、家族団らんの場になったり、「ながら」活動で滞在時間を有効活用したりと、炊事場を超えるキッチンの役割も見えてきました。現状の不満点や懸念をしっかり整理して、納得のいくキッチンを計画しましょう。さまざまなご期待に応えられるよう、ダイワハウスの設計士やインテリアコーディネーターがサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。