ペットは、私たちに喜びや安らぎをもたらしてくれる存在です。
自宅で過ごす時間が増え、癒やしを求めて犬や猫を飼いたいと考えている人もいるでしょう。
しかし、安易な考えで飼い始めてしまっては、ペットも飼い主も不幸になりかねません。
飼い主の義務である「終生飼育」を踏まえて、
ペットと生活を共にする中で飼い主が気を付けるべきことや必要な備えについて
ペットケア用品の販売を行う株式会社ハートランドの方にお話を伺いました。
Profile
株式会社ハートランド 営業部 犬猫飼養アドバイザー
木村 智也さん
株式会社ハートランド 経営企画推進室 ゼネラルマネージャー
永田 将史さん(写真左)
株式会社ハートランド 経営企画推進室 チーフ
後藤 真也さん(写真右)
ペットと長く一緒に過ごすためには、
飼い主による「管理」が大切
飼い主には、ペットを適切に管理する責任があります。ペットも人も楽しく快適に、長く一緒に暮らしていくために重要な「しつけ」と「健康管理」について知っておきましょう。
しつけの大切さ
ペットを家族にするということは、人間社会に迎え入れるということでもあります。ペット・飼い主・周囲の人の安全を守るために適切なしつけを行い、人間社会のルールに順応させることが大切です。
犬のしつけには、「コマンド」という行動を起こさせる合図がいくつかあります。待て・おいで・お座り・伏せ・ハウス・よし・ダメなどは、覚えさせておきたい基本のコマンドと言えます。
猫は、犬のようにコマンドを覚えるのが好きな動物ではありません。しかし、正しい叱り方・褒め方をすれば、困ったイタズラや噛み癖を直すことは可能です。
1. 自分の名前に反応できるようにする
名前を呼ばれたら、立ち止まって飼い主の方を向いたり、何らかの反応を示したりするようにトレーニングしましょう。呼び戻しを習得すると、さまざまなトラブルを回避できます。まずは家の中など落ち着いた場所から始め、できるようになったら散歩コースやにぎやかな公園などでも練習し、どのような環境でも「呼ばれたら飼い主のもとへ戻る」ことを覚えさせます。
2. ペットキャリーに慣れさせる
ペットを動物病院に連れて行こうとペットキャリーを準備したら、嫌がってなかなか入ってくれない…というケースは少なくありません。ペットキャリーは、普段のお出かけや動物病院に行く時だけではなく、災害で避難する時にも必要とされるもの。ペットキャリー=怖いものではないとペットに認識させるため、ペットキャリーの中でおやつを与えるなどをして、普段から慣れさせておきましょう。
愛犬・愛猫のための住まいづくりのアイデア
キッチンや洗面室など、入ってほしくない場所をしつけで覚えさせることもできますが、入れないように扉やゲートを設置するのが手っ取り早く、安全でもあります。
● イタズラを防止するキッチン収納
食器やダストボックスで遊んではいけないということがペットには分かりません。イタズラや事故を防ぐために、扉を設けて中に入れない工夫をするといいでしょう。
● キッチンへの立ち入りを制限 ペットゲート
キッチンの入り口には、勝手に立ち入らないようペットゲートを設置するのがベター。調理中の危険からペットを守り、食材の誤食も防ぎます。
● ロック機能付き室内用ペットドア
猫専用ドア付きの室内ドア。お留守番の時は寝室に入れないようにするなど、フレキシブルに使用可能です。
日々の健康管理
犬や猫は、たとえ体調が悪くても周囲に悟られないように隠す習性があります。だからこそ、普段からペットの様子をよく観察し、小さな変化に気づけるようにしましょう。
1. ブラッシングをしながら全身をチェック
ブラッシングは、ペットの皮膚の状態や体格の変化を知るきっかけにもなります。全身くまなくチェックしながら、被毛のお手入れをしてあげましょう。また、ブラッシングなどを通してスキンシップをとっていると、口元や耳元、足先などの敏感な箇所を触っても嫌がらないようになります。歯磨きや耳そうじ、爪切りをする時はもちろん、動物病院で検診や治療を受ける時もおとなしく身をゆだねてくれるでしょう。
2. 適正体重をキープ
定期的に体重を計り、肥満や体重が減るといった病気のサインを見逃さないようにしましょう。適正体重は犬種・猫種や年齢によって大きく異なるので、分からない場合はペットショップや動物病院で聞いてみてください。
3. 犬種・猫種に応じたシャンプーを
自宅でのシャンプーも健康管理の一環です。犬や猫は全身を被毛に覆われており汚れが付きやすく、人間と比較して皮膚が薄いため、皮膚トラブルが少なくありません。適切な頻度でシャンプーを行い、皮膚・被毛を清潔な状態に保ちましょう。
CHECK
株式会社ハートランドでは、犬猫専用のシャンプー・リンスを販売しています。被毛の長さや毛質、年齢に応じた複数の商品から、愛犬・愛猫にぴったりのシャンプーをお選びいただけます。
ゾイック N(犬猫兼用)
4. 動物病院の選び方
病気・けがの治療をはじめ、ワクチン接種や定期健診など、動物病院のお世話になる場面は多々あります。自宅からの通いやすさが一つの目安になりますが、その病院が得意とする分野が分かれば、それも判断材料になります。また、かかりつけ医のほか、夜間診療を行っている動物病院の場所も知っておくといいでしょう。
日頃からもしもに備える
災害が起きた時や、飼い主が病気になるなど、普段の生活が続けられなくなる状況は突然訪れます。そうした「もしも」に備えて、事前に「こういう場合はどうするか」を検討し、必要に応じて家族や友人に共有しておきましょう。
1. 迷子に備える
迷子や災害、盗難、事故などによって飼い主と離ればなれになった場合に備えて、マイクロチップを装着しておくことをおすすめします。マイクロチップには個体識別番号が記録されており、それをもとに飼い主の情報を照合することができます。2022年6月から、ブリーダーやペットショップ等で販売される犬や猫についてはマイクロチップの装着が義務化されています。
2. 災害に備える
自宅付近の避難場所が、ペットの受け入れが可能かどうか、事前に調べておきましょう。避難所では、ペットキャリーやクレートの中で過ごす時間が増える可能性があるため、普段から慣れさせておくことも大切です。また、一緒に避難している人の中には動物が苦手な方もいるので、ペットがおとなしく行動できるよう、最低限のしつけを行っておきましょう。
災害時に備えて準備しておくもの
● フード、水
1週間~1カ月分程度。無添加フードは体にやさしいですが、日持ちしないので注意。
● ペットキャリー、ハーネス、リード
避難時や、放し飼いにできない避難所生活などに備えて準備しましょう。
● 常備薬
持病がある場合は必須。普段使用している塗り薬などもあれば安心です。
● ペットの写真、迷子札
迷子になった場合に備え、写真を手元に用意。名前・連絡先を書いた迷子札も活用しましょう。
3. 飼い主の入院等に備える
信頼できる親戚や知人に、「自分にもしものことがあったら一時的にペットを預かってほしい」と、事前に相談しておきましょう。また、不慮の事故などに遭った場合に備えて、自分の財布にペットを飼っている旨や緊急連絡先、希望する対応方法などを記したメモを入れておくことをおすすめします。
シニア期を迎えたペットとの暮らし
小型・中型の犬や猫は約8歳~10歳、大型犬は6歳~7歳でシニア期を迎えます※。徐々に性格が丸くなっていく愛犬・愛猫に、子犬・子猫の時とは違った愛らしさを感じるはず。一方で、白髪が増えたり被毛のツヤがなくなったりと、見た目にも老化のサインが表れます。特に対処を必要としないものが多いですが、中には病気による症状の可能性もあります。毎日、愛犬・愛猫の様子をよく観察し、気になることがあれば早めに動物病院で診察してもらいましょう。
また、最近ではシニア期のペットとの暮らしをサポートするペット用品やサービスなども増えてきています。それらをうまく活用し、ペット・飼い主ともにストレスなく過ごすための工夫をしましょう。
出典::環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン~犬・猫の健康を守るために~」
平均寿命の推移(ダイワハウス「猫と暮らす家 犬と暮らす家」カタログより)
出典:「アニコムどうぶつ白書2019」
目が白っぽく見える
白内障の可能性があります。何もないところでつまずいたり、家具にぶつかったりするなどの症状も見られます。
水をよく飲む、おしっこが多い
腎臓病の可能性があります。放置すると、食欲低下や嘔吐、貧血などの症状が見られるようになります。
呼びかけに反応しない、トイレを失敗する
認知症の可能性があります。夜中に突然鳴くようになったり、同じところをぐるぐると歩き回ったりするのも特徴的な症状です。
終生飼育は飼い主の責任。長い時間を一緒に過ごす想定を
長い時間を共に過ごしてきたペットとも、いずれは別れる時がやってきます。想像したくありませんが、飼い主より先に亡くなる場合が多いのも事実。それを理解した上で、毎日愛情を持って接し、自分が納得のいく形でペットの最期をみとることが大切です。
ペットとの暮らしは、決して楽しいことばかりではありません。責任が伴い、時には面倒に思うこともあるでしょう。しかし、愛犬・愛猫の存在は、そんな苦労も帳消しにしてくれるはずです。かけがえのないパートナーと、楽しく豊かな生活を送ってください。
取材協力
グループ企業「中野製薬株式会社」が開発・製造するペット専用商品ブランド「ZOIC」の販売元。「キレイ=美(健康・清潔・美容)」をキーワードに、ペットとの生活をより豊かにする事業を展開している。