肌や髪、瞳の色など、人それぞれが生まれ持った色素と調和する色を指す「パーソナルカラー」。
メイクやファッションなど、身につけるものに取り入れるのが一般的ですが、
実はインテリアコーディネートに活かすこともできます。
パーソナルカラーにとどまらず、色が持つ心理・生理への作用を生かしたインテリアの色選び、
色彩心理を使った印象演出など、インテリアと色との関係についても詳しくお伺いします。
Profile
カラーコーディネーター
川島彩子 先生
百貨店にて海外ブランドの買い付け、ディスプレー、販売を経験後、結婚を機に退社。パーソナルカラー、色彩心理等を学び独立。現在は個人のカラーカウンセリングの他、専門学校、結婚相談所、再就職支援などで色彩講師、イメージアップ講師として活動。ショップスタッフに向けての研修、カラーセラピスト育成も手掛ける。ファッションコーディネート色彩能力検定1級。センセーション カラーセラピー セラピスト・ティーチャー。
自信を後押ししてくれる パーソナルカラーのメリット
パーソナルカラーとはその人をイキイキと若々しく見せる「似合う色」のこと。洋服やメイク、アクセサリーなどにパーソナルカラーを取り入れると第一印象が好印象に変わり、周囲から「似合っているね」と褒められることが増えます。また、鏡を見たときにも顔色が明るく、若々しく見えるのが実感でき自信につながります。自信がつくと飾らず素直に表現できるので、コミュニケーションが円滑に進むメリットも期待できるでしょう。
仕事のプレゼンなど自分を奮い立たせたい場面では、パーソナルカラーに背中を押されて堂々と挑めたという声も聞かれます。お客様の似合う色を論理的に説明できるようになり、接客の仕事に活かしている方もいます。
パーソナルカラーのセルフチェック法
パーソナルカラーはスプリング、サマー、オータム、ウィンターの4つの季節の名称が付いたグループに分けられます。大きく2つに分けると、スプリングとオータムは黄が混ざったイエローベース、サマーとウィンターは青が混ざったブルーベースです。
パーソナルカラーは日焼けをした後の肌色の変化、よく身につけるアクセサリーやメイクカラーなどからセルフチェックすることができます。詳しくはこちら。
「似合う色から考えるインテリアカラーセミナー」~パーソナルカラーの活用~
静脈の色が青緑っぽい人はイエローベース、青紫っぽい人はブルーベースと考えることもできます。男性の場合は肌なじみがいいと感じるネクタイやマフラーの色味を参考にするといいでしょう。キャメルやブラウン、ベージュ系ならイエローベース、ブラックやネイビー、グレーならブルーベースと判断できます。
しかし、自分の好きな色がパーソナルカラーと異なることも少なくありません。逆にあまり好みではない色が最も似合う色ということもあります。その場合は、自分のパーソナルカラーの色の中から、自分の好みに近いものを選んで小物など小さなものからぜひ取り入れてみてください。「敬遠していた色だけど意外と似合う」と新たな発見があったり、周囲から褒められたりすることで好きな色に変わることもあります。
パーソナルカラーをインテリアに活かす方法
洋服や小物と違い、家は長く暮らす場所なので自分が好きな色を選ぶのが大前提ですが、これからインテリアを決める方で色選びに迷われているなら、ぜひパーソナルカラーを判断材料として知っておいて欲しいです。
インテリアスタイルカラーチャート
上の写真は、インテリアスタイルをイエローベース、ブルーベースに分けたものです。イエローベースの4つの空間は少し温かみがあり、ブルーベースの4つの空間は少し灰みがかっています。
床や壁、天井を構成する色や、家具、ラグ、クッション、カーテンなどの小物の色にパーソナルカラーを取り入れると、住む人がイキイキと見えるばかりでなく、それを見た家族も元気をもらえる…という効果が期待できるでしょう。
家族でパーソナルカラーが異なる場合は、その空間で最も長く時間を過ごす人に合わせましょう。さらに、パーソナルカラーを知っておくと、床はブルーベースなのにソファはイエローベース…というちぐはぐな組み合わせが避けられるので、インテリアに統一感が出やすいです。
最近はオンライン会議も増えていますが、背景となる壁紙やカーテンはぜひパーソナルカラーを取り入れることをおすすめします。ただし、ビビットな色は色自体の印象が強く出てしまうので、パステルカラーを選ぶのがポイント。相手に親しみやすい印象をあたえ、会話が弾みやすくなります。スカーフや眼鏡、顔周りのアクセサリーにもパーソナルカラーを取り入れるとさらに印象が良くなります。
色で体の緊張がほぐれる?
色の特性を活かして暮らしを豊かに
パーソナルカラーは「その色が自分に似合っているかどうか」「他の人からどう見られるか」といった、いわば「他者目線」の色選びと言えるでしょう。洋服やメイクならいいですが、インテリアの場合は長く過ごす場所なので、自分がその色に囲まれてくつろげるか、空間の用途に合っているかといった観点での色選びも大切になってきます。
心理と身体への作用
光は物体に当たると反射や吸収され、反射した光が色として私たちの目に映ります。色の違いは光の波長の長さの違いで、身体への作用も異なります。また、色自体が持つ印象によって人にあたえる印象も変わります。これをインテリアにも活かすことができます。
- 緑…安らぎ、平和(国や文化によっても異なる)の印象。生理面の作用はリラックス効果。寝室の壁紙に淡いグリーンはおすすめ。
- 青…誠実・理性的な印象。生理面では体温や血圧を下げる。低血圧の人が寝室の壁紙に使うと目覚めが悪くなるので要注意。
- 黄…好奇心旺盛、子どもっぽい印象。有彩色の中でも最も明るく脳を刺激する。薄いイエローの壁紙を子ども部屋に取り入れると勉強に集中しやすい。
- 白…清潔感。高級感。近寄りがたい印象。すべて白で統一されたインテリアは不安感を感じやすいので注意。
- 茶…落ち着いた、老けた印象。ベージュは筋肉の緊張をほぐす。薄いベージュの壁紙は寝室におすすめ。
進出色と後退色
同じ距離でも色によって遠くに見えたり、近くに見えたりすることがあります。暖色系の色は前に飛び出して見え、寒色系の色は後ろに下がって見えます。アクセントクロスの色選びに取り入れれば、部屋の狭さをカバーすることもできるでしょう。
今すぐできるカラーコーディネートのテクニック
床や壁紙といった建材は頻繁に変えることができないので、インテリアスタイルで迷っている場合はニュートラルな色味を選んでおき、家具やラグ、カーテンなど小物で色遊びを取り入れるのもおすすめです。今すぐ取り入れられるコーディネートのテクニックをご紹介します。
補色を「アクセントカラー」に取り入れる
クッションなど面積の小さな部分は、アクセントカラーとして補色(色相環において反対の色)同士を組み合わせて配置します。お互いの色が引き立ち、イキイキとした空間が演出できます。
色相環
新鮮でインパクトをあたえる配色「コンプレックスハーモニー」
黄色に近い色の明度を低く、青紫に近い色の明度を高くする配色で、色味が持つ本来の明度とは逆の配色です。自然界に見られない配色で、非日常感を印象づけます。ホームパーティなど特別な日の演出におすすめ。
ちなみに、黄色に近い色の明度を高く、青紫に近い色の明度を低くする配色は「ナチュラルハーモニー」と呼ばれ、調和が取りやすい配色です。
まとめ
最近は、SNSにアップされている素敵な写真を参考にインテリアコーディネートを決める人は多いでしょう。しかし、そのまま取り入れてもなんだか落ち着かなかったり、雑然とした印象になってしまったりということも少なくないようです。パーソナルカラーや色彩心理、空間の用途なども考慮しながら、その家に合うベストな色を取り入れて、居心地のいいインテリアを実現させてください。
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