皆さんは住まいに友人や両親、兄弟姉妹を招く機会は多いでしょうか?
住まいづくり/選びでは多くの検討事項がありますが、
もし「ゲストを招きやすい住まい」に興味があるのであれば、
先輩方の意見を知っておいて損はありません。
ゲストもくつろげ、家族のプライバシーも守られた住まいとはどんなものなのか、
My House Paletteメールマガジン会員の方々へアンケートを実施し、ヒントを探りました。
調査時期 | 2024年11月8日~11月17日 |
---|---|
調査対象 | My House Palette メールマガジン会員 |
有効回答数 | 668件 |
調査方法 | My House Palette メールマガジンでのアンケート |
Q1.ご自宅にゲストが訪問したときは、
どこに案内することが多いですか?(複数回答)
「リビング」(72%)が圧倒的多数という結果に。かつて、ゲストをもてなす場所といえば客間やゲストルームという印象がありましたが、現在ではライフスタイルの変化や居住スペースの都合などで客間を設けないケースも増えています。その結果、リビングは家族のくつろぎの場所だけでなく、ゲストを迎える客間としての役割も果たしているようです。
2位には「玄関」(24%)がランクイン。ちょっとした訪問には玄関先で対応し、家には上げないのが現代の来客対応のスタイルなのかもしれません。最近では子どもの学校の家庭訪問も玄関先で済ませるケースが増えているようです。特にコロナ禍以降、家族以外の人を家に招く機会は減っているのかもしれません。
次に、「ダイニング」(12%)、「客間・ゲストルーム」(12%)と続きました。
Q2.現在の住まいを建てる・選ぶ際に、
ゲストを招くことを考慮しましたか?
「とても考慮した」(9%)と「少し考慮した」(43%)を合わせると、52%が「考慮した」という結果になり、半数以上がゲストの来訪を意識していることがわかります。
一方で、「全く考慮しなかった」(48%)と回答した方に理由を聞くと、「ほとんどゲストが来ないから」の理由が約半数を占め、「検討事項にもあがらなかった」「ゲストを招きたくなかったから」の意見も上位にランクインしました。
ただし中には、「人を招きたいけれど、スペースや予算の問題でかなわなかった」という方も。住まいづくりでは決められた予算や優先順位の中から、間取りや住宅設備などのかなえたい要望や理想をどこまで取り入れるのか、削るのかなど多くのことを考えなければなりません。そのため「考慮しなかった」という結果の裏側には、他に優先すべき要素や金銭的な問題などさまざまな事情との兼ね合いで、やむを得ず実現できなかったという現状もありそうです。
では、ゲストを招くことを考慮した方は「誰が」訪れることを想定し、「どのような」ところにこだわったのでしょうか。「考慮した」と回答した方に詳しく聞いてみました。
Q3.Q2で「とても考慮した」「少し考慮した」と答えた方は、誰が訪れることを想定して住まいづくり/選びをしましたか?
ゲストの想定として最も多かったのが「(回答者の)友人」(43%)でした。夫妻それぞれの友人などを家に招いて交流を楽しみたいと考える方は多いでしょう。次に「両親」(37%)、「親戚」(同)、「兄弟姉妹」(34%)など親族が訪れることを想定した方も多数いました。両親や兄弟姉妹を呼んで一緒に食事をする、子どもがいるご家庭では子育てのヘルプに来てもらう、といったシチュエーションは多々あるため、住まいづくり/選びでも考慮したという結果には納得です。
そして「(子どもやパートナー、両親の)友人」(同)と続きました。
Q4.Q2で「とても考慮した」「少し考慮した」と答えた方は、住まいのどの部屋・空間に最もこだわりましたか?
半数が「リビング」(50%)と回答したのは、リビングがおもてなしの場所であることからも納得の回答です。次点となった「客間・ゲストルーム」(19%)は、冒頭Q1の「ゲスト訪問時に案内する場所・空間」に関する質問では3位でしたが、やはり客間やゲストルームがあるご家庭を中心に、まだまだおもてなしの場所として活用されていることがうかがえます。
3位にランクインした「玄関」(11%)は、ゲストが最初に目にするいわば「住まいの顔」ともいえる場所。近年では、来客用と家族用の動線が分かれている2WAY玄関も出てきており、生活感のある空間がゲストの目に触れる心配がありません。玄関がランクインしたのは、家の中へ案内する動線にも考慮している方が多い結果でしょう。
Q5.Q4で選んだ選択肢について、
具体的にどこにこだわりましたか?(複数回答)
Q4のランキング上位5位について、場所ごとにどんな点にこだわったのか見てみましょう。どの場所も「広さ」にこだわる方が多数ですが、場所ごとにややこだわる点も変わってくるようです。こだわりポイントの詳細も併せてご紹介します。
リビング
ゲストが過ごすリビングのこだわりは6割近くが「広さ」(58%)と回答しました。次に「動線」(39%)、「インテリアテイストの統一感」(20%)となりました。
- 普段の生活時はもちろん、ゲストが来たときにスムーズにおもてなしができるようキッチンとリビング間の動線にこだわった
- 広さと居心地の良さを重視。ゆったりと座れるソファを配置し、ゲストがリラックスできるようにクッションや照明にも気を配った。会話がしやすいように、座る位置が自然に向き合うようにレイアウトした
- 生活感が出過ぎないようリビングの収納を増やし、リビングからキッチンの冷蔵庫が見えない位置に配置した
- 古いマンションで天井が低いため、白い壁紙や開放感が感じられる家具配置を考えた
- ゲストがくつろげるよう、インテリアを暖色で統一した
客間・ゲストルーム
最多は「広さ」(50%)でしたが、同じくらい多かったのが「動線」(47%)です。「ゲストが宿泊することも多いため、家族の生活ゾーンと明確に分けている」という意見が目立ちました。
- 両親が泊まれるようにゲスト用布団の収納スペースをつくり、寝るときに仕切れるようにした
- ゲストが家の奥まで入らなくてもよいように、玄関近くに客間とトイレ・洗面所を集約させた
- プライベートとパブリックなエリアを分けたかったので仕切りをつけ、ゲストが2階へ上がらなくても済む間取りにした
- 家庭訪問に対応できる客間を玄関横に設置した
- モダンなインテリアに統一するため家具や調度品にこだわった
玄関
最も多かったのは「動線」(42%)ですが、「広さ」(36%)を重視する方も多数。玄関に十分なスペースがあれば、ゲストが靴を脱ぐのもスムーズです。また、ゲスト専用のコートクローゼットなども設置できて、整理整頓がしやすくなるでしょう。ある程度の広さがあれば、玄関先で来客対応することも可能です。
- 玄関は自宅の顔なので、特に照明の明るさにこだわった
- いつ来客があっても玄関がすっきり見えるよう、来客用と家族用の玄関を分けた
- 家に入ったときにまず目に入る部分なので、広めに取り、デザイン性のある室内タイルを取り入れるなど装飾などもこだわった
ダイニング
ゲストとゆったりと食事を楽しめるよう「広さ」(61%)にこだわる方が多数。大人数を招くなら、家族の人数+αのゆったりとしたダイニングテーブルとチェアが配置できるスペースがあると快適に過ごせそうですね。
- 手料理を振る舞うことが多いので、広いダイニングテーブルが置けるスペースを確保した
- 料理をしながらコミュニケーションが取れるよう、(キッチンと)横並びのダイニングにした
- 複数人をもてなすときは、客間よりもダイニングで座りながら談笑するのがいいと思う
キッチン
ゲストとホストが一緒に作業できる「広さ」(36%)もこだわりのポイントのようです。狭いキッチンだとホストが一人で作業しがちですが、十分な広さがあればゲストとホストがおしゃべりを楽しみながら一緒に料理や盛り付けができます。その一方で、生活感のあるキッチンをゲストに見られたくないという声もありました。
- みんなで料理や配膳ができるようワークトップが広いアイラインドキッチンを選んだ
- バーカウンターを設置し、キッチンに立つ人と会話が楽しめるようにした
- リビングからキッチンが丸見えにならないよう目隠しをつけた
その他のコメントとして、こんな意見もありました
- 普段は仕切りを開けて大空間に、来客時には閉めてプライベートを守れるようにした
- バルコニーを広く取ってテーブルを設置し、外でもゲストがくつろげるようにした
- 洗面所と脱衣所を独立させ、ゲストが洗面所を気兼ねなく使えるようにした
- 玄関からリビングに案内する際に、家族のプライベート空間が見えない間取りや仕切りにこだわった
- 以前の家では空調の関係で真夏や真冬にゲストが泊まれる部屋が限られていたが、今の家ではドアを開け放ち家全体に空調が行き渡るようにしたことで、家族もゲストも快適に過ごせるようになった
Q6.ゲストを招きやすい住まいづくり/選びをしたことで、
どのような効果・メリットがありましたか?(複数回答)
半数近くの方が「ゲストを気兼ねなく呼べるようになった」(45%)と回答。「ゲストの前を通らなくても行き来ができるようになった」「家族に来客があっても、自分は普段通りのくつろいだ生活ができるようになった」という喜びのコメントが寄せられました。
来客に対応していない住まいの場合、「ゲストがくつろげないのではないか」という思いと、ゲストが滞在している間は家族の生活が制限されることで、「家族に居心地の悪さやストレスを感じさせてしまうのではないか」という思いが混在することもあるのではないでしょうか。しかし、せっかく新しい住まいを考えるなら回答者のコメントのように、ゲストと家族どちらにとっても居心地が良い空間をつくりたいですよね。
今の住まいでこのようなお悩みを抱えている方は、次章で新たな住まいを検討される際のヒントをご紹介していますので、ぜひ併せてご覧ください。
この他、ゲストを招きやすい住まいにすることで「普段から住まいを奇麗に保っておく意識が芽生えた」(37%)といううれしい声も。ゲストを招く日だけでなく、日常的に心地よい空間を保つようにしていれば、家族もリラックスして過ごせますし、来客の際も慌てずに済みます。
Q7.今後、自由に住まいづくりができるとしたら、ゲストを招きやすい住まいを考える上で大切にしたいことを最大3つまで教えてください。
最も多かったのが「家族のプライバシーに配慮できる動線設計」(56%)でした。例えば、玄関からリビングにゲストを案内するときや、ゲストがトイレを使う際に、家族の動線と重なってしまうと家族がくつろげず、ゲストも居心地の悪さを感じてしまうことも考えられます。
これらは、来客用玄関からリビングへ直結できる動線にする、間仕切りでプライベート空間を隠すといった方法で解決できるかもしれません。なお動線設計を配慮する場合、「リビング階段」はリビングを経由しないと2階に上がれないため、慎重に検討した方が良いでしょう。
2番目に多かったのが「ゲストが心地よく過ごせる空間にすること」(44%)の回答でした。「ゲストが心地よく過ごせることが最優先。来て良かったと思ってもらいたい」「気兼ねなくくつろいでもらいたい」との声が寄せられました。
くつろぎを演出する設計アイデアの一つとして、床の高さに変化をつけるロースタイルリビングはおすすめです。リビングの床を下げることでおこもり感を演出するだけでなく、目線が低くなるため天井がより高く感じられます。ステップや窓際のベンチなど、腰掛けるスペースも増えるので、ゲストが思い思いにくつろぐことができます。
また、リビングとフラットにつながる軒の深いウッドデッキは開放感を演出し、気候のいい季節なら“第2のリビング”としてゲストに喜ばれるでしょう。
「2階リビング」も効果的。2階なら外からの視線が気になりにくいので、気兼ねなく眺望を楽しめますし、家族とゲストのプライバシーを守りながら存分にくつろぐことができます。
「来客前後の掃除のしやすさ」(37%)、「来客準備のしやすさ」(33%)については、間仕切りを閉めることで生活感を隠せるようにする、リビングに造作家具をつくって隠す収納にする、リビングの一角に掃除用具などをしまえる収納スペースをつくるといったアイデアもあります。
まとめ
人を招きやすい住まいは、家族の居心地がいい住まいともいえます。ゲストにくつろいでもらい、家族も気兼ねせず過ごせるよう、住まいづくり/選びを検討されている方は今回のアンケートでも上位にあがった広さや動線、収納を意識した住まいを構想してみてはいかがでしょうか。