大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

北塩原村、喜多方市

“暮らす森”を知ろう

SLOWNER WEB MAGAZINE

SLOWNER WEB MAGAZINE

自然・風土

美しき湖沼群と、蔵のまち

ロイヤルシティ裏磐梯リゾート/2024.09.27

北塩原村、喜多方市

福島県を代表する名峰、磐梯山(標高1,816m)の北麓に広がるロイヤルシティ裏磐梯リゾート。「会津富士」と呼ばれるほど山容が美しい磐梯山南側の「表磐梯」と違い、「裏磐梯」は明治時代の水蒸気爆発によって荒々しい山肌をあらわにし、周囲にも大地の息吹を感じる独特の景観が広がっています。
山岳道路 磐梯山ゴールドラインの中腹にある、落差約13mの「幻の滝」は、2007年(平成19年)に遊歩道などが整備されるまで地元の人にもあまり知られていなかったという隠れた名瀑。スケールの大きな自然の中には今も、未踏の自然が広がっているかもしれません。

(写真左)透明度では五色沼一といわれる「るり沼」。奥には磐梯山が見える
(写真右上)コバルトブルーの毘沙門沼は五色沼でいちばん大きな沼
(写真右下)青沼は魚が棲めないほどの強酸性

水蒸気爆発が起きたのは1888年(明治21年)のこと。山体崩壊が起き、岩雪崩によって川がせき止められた結果、約300もの湖沼が点在する稀有なエリアが形成されました。全長約4kmの探勝路でめぐることができる「五色沼湖沼群」は、天候や季節、水中に含まれる火山性物質の影響でさまざまな色彩を見せてくれます。同じ水源でありながら、コバルトブルーやエメラルドブルーなど、湖水のpH値によって変化する水面の色は神秘的です。

(写真上)たくさんの小島が浮かぶ秋元湖を一望できる「秋元湖展望台」。夜明けの美しさもカメラ愛好家の中で人気
(写真左下)モーターボートや観光船が運行する「桧原湖」
(写真右下)桧原湖に復元された大山祇神社の一の鳥居。遠く正面には磐梯山を見ることができる

湖沼群の中で「裏磐梯三湖」と呼ばれるのが、桧原湖・小野川湖・秋元湖です。特に桧原湖は、湖周約31km、最大水深約31mを誇る裏磐梯最大の湖。ここにはかつて旧米沢街道の宿場町「桧原宿」が広がっていました。高台にあった大山祇(おおやまづみ)神社は水没を免れましたが、山道や鳥居は湖の中に。湖中の二の鳥居はカヌーツアーやモーターボート遊覧の際に湖上から見ることができますが、渇水期には、その二の鳥居の上部や参道の杉並木の根元が姿をあらわします。

厩舎を思わせる端正なデザインが、裏磐梯の自然の中に映える「諸橋近代美術館」

ロイヤルシティ裏磐梯リゾートから五色沼へ向かう国道459号線の途中に見える洋館は、サルバドール・ダリのコレクションでは世界屈指を誇る「諸橋近代美術館」です。大型スポーツ店ゼビオの創立者 諸橋廷蔵(もろはし ていぞう)氏がおよそ10年にわたって蒐集(しゅうしゅう)した西洋近代美術の秀作を、財団法人に寄贈するかたちで1999年(平成11年)に開館。それらの作品群は、諸橋氏が青年期から強く憧れたダリの作品だけでも絵画、彫刻、版画作品など約330点。壮大な磐梯山の麓で、シュルレアリスムの巨匠の世界を堪能することができます。

(写真左)喜多方市の中心市街地、大和川酒造北方風土館の前には、飯豊連峰の伏流水を汲める水汲み場がある
(写真右)小田付地区には、江戸時代の宅地割の上に個性的な蔵が立ち並ぶ。2018年(平成30年)に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定

喜多方市の町並みに、郷土の誇りを感じる

北塩原村の西隣、喜多方市は良質の水と米に恵まれ、古くから日本酒や味噌、醤油などの醸造業が盛んです。町には今も江戸時代から大正時代に建てられた4,000棟余りの蔵が並び、その大半が現役で使われていることから「蔵のまち」として訪れる人の郷愁を誘います。喜多方には自分の蔵を建てることは誇りの象徴だった時代があったとか。酒蔵、味噌蔵、漆器蔵などの商い用の蔵だけでなく、物置蔵や座敷蔵、外便所を蔵にした厠蔵など、その用途はさまざま。レンガや白壁、黒漆喰、扉の形など、素材や建具のこだわりにも蔵への誇りが垣間見えます。

竣工当時はまれだったヨーロッパ風のデザインの「日中線記念館(旧国鉄 熱塩駅跡)」

かつて、喜多方駅から温泉で知られる熱塩(あつしお)までを走っていた旧国鉄日中(にっちゅう)線。もともとは山形県米沢市までを結ぶ構想があり、その一部として開業されましたが、1984年(昭和59年)に廃線。1938年(昭和13年)に竣工した熱塩駅の駅舎は、現在「日中線記念館」として当時の資料のほか、往年の姿のままの客車やラッセル車(除雪車)なども展示されています。線路跡は、約1,000本の枝垂れ桜が立ち並ぶ自転車歩行者道に。春には桜色のトンネルを描く名所です。

等間隔に並ぶ円柱と吹き抜け構造が整然とした、新宮熊野神社の長床。国指定の重要文化財に指定

「新宮熊野神社」は、1055年(天喜3年)源頼義が勧請したとされる古社です。鎌倉時代初期に建立された「長床(ながとこ)」は平安時代の寝殿造りの流れをくんだ拝殿で、直径1尺5寸(約44cm)の円柱44本が等間隔に5列並ぶ吹き抜けの構造。神楽等の祭礼に使われたほか、修験者が厳しい修行に励む道場として使われたと伝えられています。長床前には樹齢約800年といわれる大イチョウがあり、秋には黄金の絨毯が長床を彩ります。

磐梯山[現地から約12.5km]/磐梯山ゴールドライン[現地から約15.5km]
幻の滝[現地から約13.7km]/五色沼湖沼群[現地から約4.2km]
るり沼[現地から約5.3km]/毘沙門沼[現地から約1.7km]
秋元湖展望台[現地から約1.8km]/青沼[現地から約4.1km]
桧原湖 [現地から約6.1km]/大山祇神社[現地から約11.7km]
諸橋近代美術館[現地から約1.1km]/大和川酒造北方風土館[現地から約33.1km]
日中線記念館(旧国鉄 熱塩駅跡)[現地から約40.2km]/新宮熊野神社 [現地から約39.7km]

取材撮影/2024年7月29日~7月31日

SLOWNER TOPへ

特集コンテンツ