宮城県仙南地域
自然・風土
ロイヤルシティ宮城蔵王リゾート/2022.07.28
ロイヤルシティ宮城蔵王リゾートが広がる蔵王連峰の裾野、宮城県蔵王町(ざおうまち)をはじめ、県南部の2市7町※1は「仙南地域」といわれ、古くから街道や水運による交通の要衝でした。現在も、東北新幹線などの鉄道網、東北自動車道、山形自動車道の高速交通網が整備され、良好なアクセスが魅力です。
仙南地域の総面積に占める森林の割合は約68%※2といわれ、仙南地域の西部は蔵王連峰の蔵王国定公園、その丘陵地帯は蔵王高原県立自然公園に指定されています。また、福島県との県境の阿武隈川流域は、阿武隈渓谷県立自然公園に指定されており、蔵王連峰を中心に、大らかな自然が広がっています。
※1 白石市、角田市、蔵王町、七ヶ宿町、大河原町、村田町、川崎町、柴田町、丸森町
※2『令和4年度 仙南地域の概要』(大河原地方行政連絡調査会議)
白石市を走る国道457号線から見た蔵王連峰
宮城蔵王リゾートから新緑のアーチが続く山岳道路 蔵王エコーラインを走ると、標高が上がるたびに森は表情を変えていきます。道の途中に、ゴツゴツとした火山岩が広がるのは駒草平(標高1,383m)。ダイナミックな断崖絶壁には、蔵王連峰から湧き出た水が「不帰(かえらず)の滝」となってほとばしり、緑と土色の世界で独特の美しさを放っています。
蔵王連峰のシンボルといえば、エメラルドグリーンの水をたたえた火口湖「御釜」です。1895年(明治28年)までに30回もの噴火を繰り返してできた御釜は、周囲を囲う熊野岳(標高1,841m)と刈田岳(同1,758m)、五色岳(同1,672m)の複雑な火口壁とともに、地球の力強い息づかいを感じさせます。
御釜がある蔵王山頂へと向かうには、宮城と山形を結ぶ全長約26kmの蔵王エコーラインと、そこから分岐した山岳観光道路、蔵王ハイラインを利用する
宮城蔵王の玄関口、白石市の山間には小原渓谷があります。渓谷の間を流れる白石川は、空や山をそのまま映したような澄んだ水面で、その美しさに感動した明治時代の文豪 徳富蘇峰(とくとみ そほう)が、「碧玉渓(へきぎょくけい)」と詩に詠んだことから、その名でも呼ばれるようになりました。その白石川上流にある七ヶ宿ダム近くには、あたかも巨大な材木を垂直に並べ立てたように見える絶壁「小原の材木岩」があります。これは、マグマが冷却する過程でできる柱状の割れ目(柱状節理)が高さ約65m、幅約100mにわたって広がったもので、1934年(昭和9年)には国の天然記念物に指定。巨大な自然の造形美は、見飽きることがありません。
(写真左)小原渓谷・碧玉渓は、紅葉の秋が特に見もの (写真右)迫りくるような錯覚を覚える小原の材木岩
宮城蔵王山麓には、歴史ある名湯が点在しています。川崎町の濁川渓谷で、開湯150年を数える一軒宿「峩々温泉(ががおんせん)」は、その昔、山形のマタギが良質の硫黄の採掘に乗り出したことからその歴史が始まります。一時は修験者やマタギの野営場となっていましたが、明治時代に政府の宿営地として再建。今では、日本三大胃腸病の名湯として、知る人ぞ知る人気を博しています。峩々温泉から国道を東へ進むと、標高500mの高原にある「青根温泉」へ。伊達藩の湯治場として1528年(享禄元年)に開湯したこの温泉郷は、今も風情のある町並みが広がり、地元民や観光客で賑わう日帰り入浴施設「じゃっぽの湯」では、早朝から源泉掛け流しの湯が楽しめます。
(写真左)峩々温泉は、蔵王の山間でポツンと一軒たたずむ秘湯 (写真右)宮城の言葉で、お風呂を表す「じゃっぽ」の湯
県南西部の七ヶ宿町(しちかしゅくまち)からは、穏やかな稜線の不忘山(ふぼうさん・標高1,705m)がよく見えます。特に横川渓谷に架かる「やまびこ吊り橋」の橋の中央から見る不忘山は、砂防ダムの石積みと不思議な調和を醸し、蔵王を背景にした素晴らしい景観として「みやぎ蔵王三十六景」にも選出されています。やまびこ吊り橋から遊歩道を歩けば、長老湖にたどり着きます。蔵王連峰の活火山期に地殻変動でできた長老湖は、1928年(昭和3年)、横川発電所の貯水池として拡張し、現在の姿に。初夏にはハクサンイチゲや雪割草に覆われ「花の山」となる不忘山が、両手を広げてこちらを見下ろしています。
(写真左)東北一の長さを誇る吊り橋「やまびこ吊り橋」から見た不忘山 (写真右)蔵王の懐に広がる長老湖では、SUPを楽しむ人の姿も
駒草平[現地から約14.1km]/ 不帰の滝[現地から約11.7km]/ 御釜[現地から約18.0km]
小原渓谷[現地から約30.2km]/ 七ヶ宿ダム[現地から約36.8km]/ 小原の材木岩[現地から約38.5km]
峩々温泉[現地から約7.1km]/ 青根温泉[現地から約7.1km]/ 不忘山[現地から約24.6km]
やまびこ吊り橋[現地から約25.0km]/ 長老湖[現地から約24.1km]
取材撮影/2022年5月28日~5月30日
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