ヒロのお菓子屋さん レイクウッドカフェ店
食・趣味・娯楽
ロイヤルシティ裏磐梯リゾート/2024.09.27
ロイヤルシティ裏磐梯リゾートから、車で北に約10分。大小さまざまな湖沼が点在する磐梯高原の中で、少し奥まった静かな森の周辺は「レイクウッドエリア」と呼ばれ、旅行客向けのペンションが軒を連ねています。「ヒロのお菓子屋さん」も、もともと先代がペンションからスタートした手づくり菓子のお店。木立が続く細い道を奥へ進むと、森の中のカフェにたどり着きます。
森の中にたたずむ「ヒロのお菓子屋さん」。店内は薪ストーブもある家庭的なスペース
「少し奥まったところにあるので、たどり着けなくて引き返されるお客さまもいるんですよ」と迎えてくれたのは、店主の荒井浩嗣さんと紀枝さんご夫妻。おふたりも裏磐梯の自然に魅了され、東京から移住されました。標高約850m地点にあるこの辺りは、磐梯山噴火の影響を受けなかったエリアで、森の女王といわれるブナの大木をはじめ、昔からの自然が残っています。そんな環境の中でたたずむカフェでは、野鳥たちのごきげんなおしゃべりがBGMです。
先代のレシピを受け継いだ「花豆もんぶらん」(写真左)と、荒井さんオリジナルの「がとー塩っこら」(写真右)。
ここで味わえるのは、地元の食材を使った自家製スイーツ。先代からのレシピを受け継いだ「花豆もんぶらん」は北塩原村の特産品、花豆を使ったモンブランで、栗のモンブランのように、花豆をペーストにしたりトッピングにしたりして優しい味わいに。花豆は「花嫁ささげ」ともいわれ、標高800m以上の高原でなければ栽培は難しく、地元では保存食としても食べられてきた歴史があります。もうひとつは、会津の温泉水でつくられる「山塩」を使った、その名も「がとー塩っこら」。山塩のまろやかさが甘味に奥行きを感じさせるオリジナルスイーツ。自家焙煎のコーヒーやオリジナルハーブティーとともに楽しめます。
キャンプが好きという荒井浩嗣さん、紀枝さんご夫妻。「ここはキャンプ生活の延長みたいなものです」とほほ笑む
先代とは、荒井さんが被災地支援に訪れた折に、SNSを通じて交流が始まったとか。震災の影響を受けた実家近くに店を開くことにした先代は、この店の閉店も考えたそうですが、「辞めるのは簡単。だけど、お菓子やケーキは子どもに夢を与えるものだから誰かに継いでほしい」という先代の思いを知った荒井さんは、飲食業の経験のないまま、思い切ってご夫妻で受け継ぐことにしました。印刷業を営んでいた荒井さんは、事務所の片隅にカフェをつくって接客の経験を重ね、料理教室に通って引き継ぎに臨み、2015年(平成27年)に裏磐梯に移住。お子さまたちも、お菓子のデザインやテイクアウト店の運営を通してサポートしています。
会津の縁起物「起き上がり小法師」などをディスプレイされた店内では、地元でつくられたジャムも販売中
荒井さんご夫妻による「ヒロのお菓子屋さん」はフードメニューも充実。10数種類のスパイスと骨付き国産若鶏肉を使った「ヒロの特製チキンカレー」は特に人気で、ふるさと納税の返礼品としても展開しています。「東京にいた頃から裏磐梯は大好きな場所で、将来的には福島に移住したいと思っていましたので、その予定が少し早く叶いました。ここは本当に静かで、鳥の声しか聞こえない。夜は星が綺麗だし、天の川もはっきり見えます。天気によって自然の表情も違うんですよ」と、裏磐梯の大自然を謳歌されています。