大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

黒酢の郷 桷志田 (かくいだ)

“暮らす森”を知ろう

SLOWNER WEB MAGAZINE

SLOWNER WEB MAGAZINE

食・趣味・娯楽

黒酢の町から感動を届ける、黒酢料理専門レストラン

霧島高千穂リゾートランド/2022.09.13

黒酢の郷 桷志田 (かくいだ)

霧島高千穂リゾートランドが広がる鹿児島県霧島市には、『黒酢』の産地として知られる福山町があります。一般的な米酢は4世紀頃に中国から伝わったとされていますが、黒酢の歴史はおよそ200年前から。福山の商人が、中国の商人に聞いたお酢づくりの話がもとになったと伝えられています。米酢と黒酢との違いは、その原料と製法、そして熟成期間です。米酢が、精米された米を蒸して容器の中で数カ月発酵させてつくるのに対し、黒酢は、原料の玄米を水や麹とともに壺に仕込み、1年以上天日にさらして熟成させます。
福山の黒酢が長い間、全国に広く知れ渡らなかったのは、当時の薩摩藩の政策として、作物や技術を藩外に持ち出してはいけなかったため。その間も町内でお酢づくりが続いたことで、今も町全体の空気が発酵に欠かせない酢酸菌が多く含まれているとか。現在も町内で8社が黒酢を製造しており、町のあちこちで黒い壺がズラリと並ぶ畑を見ることができます。

極限までうま味と口当たりを引き出した、長期熟成黒酢

福山黒酢株式会社 桷志田(かくいだ)では、黒酢づくりに携わる職人を、日本酒づくりのように『黒酢杜氏』と呼んでいます。桷志田では、半世紀以上黒酢づくりに携わった黒酢名誉杜氏、赤池力氏の技と志を継ぐ若い職人たちが活躍しており、毎年、春と秋に仕込みを行います。仕込み壺は、信楽焼と石見(いわみ)焼などの特注品。壺の中に有機玄米(蒸し米)、米麹、硬度30度の湧き水を入れ、自社製の振り麹を水面全体に振りかけた上から、さらに和紙や油紙を被せて、蓋をして天日にさらします。発酵が進み、1年ほどで黒酢になりますが、桷志田では最短で3年、最長10年以上もの熟成期間を設けています。長期熟成は腐敗につながるリスクも大きいですが、桷志田ではうま味のもとになるアミノ酸含有量の高い黒酢づくりに特化。5年もの、8年ものになると、まろやかな口当たりが際立ちます。隣同士の壺でも味に違いが出ることもあり、職人たちは混ぜ方や上澄み具合で調整しながら、均等の品質に。一つひとつにしっかりと手をかけた桷志田の黒酢は特に、うま味や美容・健康の手助けをする「D-アミノ酸」が豊富に含まれています。

(写真左上)長い発酵熟成期間を守るために、4つの畑に約2万個の壺を所有。ひと壺に仕込む量はおよそ54リットル (写真右上)役目を終えた壺を使って、地元の高校生がアート作品を制作 (写真左下)1階ショップでは、熟成黒酢をはじめ、ドレッシングやスイーツ、希釈タイプドリンクなどバリエーション豊富なオリジナル黒酢商品がズラリ (写真右下)ジンジャーエールや野菜ジュースの黒酢割りがおすすめという、レストラン事業部の馬場博嗣さん。晩酌の芋焼酎も黒酢割りだとか

煮込み料理からスイーツまで、変幻自在な黒酢に驚く

畑の隣の施設には、黒酢料理を楽しめるレストランがあります。ここは、「10年先の健康を願う」を合言葉に、黒酢料理に特化した専門レストランとして日本で初めてオープンしました。以前は小さなスペースで、同社の前社長夫人が工場の見学客に向けてお手製の黒酢料理を振る舞っていたところ、行列ができるほど盛況となり、増築を何度も繰り返して2015年(平成27年)にリニューアル。窓の向こうに広がる桜島と錦江湾、眼下にブーゲンビリアが彩る壺畑も眺められる全席170席の大空間になりました。厨房には和風、洋風、中華のシェフとパティシエがそろい、それぞれの視点から黒酢メニューを考案。発酵時に出るもろみを肥料にした、自社栽培の有機野菜も使われています。

火にかけても味を損なわず、栄養素も失われない酢の特長を生かして、煮込み料理からスイーツやドリンクまで黒酢尽くしのメニュー構成。コース料理も食前酢にはじまり、黒酢を入れて炊いたご飯や、3年熟成の有機黒酢を使ったスイーツなど、こだわりがわかるラインアップです。『黒豚ランチコース』のメイン料理『黒豚の黒酢酢豚』は、オープン当時からの看板メニューで、5年ものの熟成黒酢がコクとさわやかな風味をもたらします。他にも手づくりドレッシングやソース、黒酢で漬け込んだ鹿児島産フルーツのスムージーなど黒酢尽くし。1階ショップでは、レストランの味を商品化したものも販売中。黒酢はいろいろな料理の名脇役になることを教えてくれます。

総料理長の中村誠治さんは、京都の料亭や鹿児島のホテルを経て、いろんなジャンルに挑戦したいと、このレストランに。「黒酢を使った煮込み料理は火を通すほどやわらかくなりますし、エビの下ごしらえに黒酢を使うとプリッと仕上がります。もちろん、いろんな調味料の代わりになりますし、今も黒酢の面白さを感じながらつくっています。黒酢になじみがない方も、酢が苦手な方にも『おいしかった』と、黒酢をリスペクトして帰ってもらえるように、これからも味にこだわっていきたいです」

取材撮影/2022年7月8日

黒酢の郷 桷志田 (かくいだ)[現地から約32.1㎞~32.6㎞]

黒酢の郷 桷志田 (かくいだ)[現地から約32.1㎞~32.6㎞]
SLOWNER TOPへ

特集コンテンツ