大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

田舎暮らしの夢をサポート。スローライフに役立つお得な特典満載!ダイワハウスのスローナ倶楽部

スタッフからの現地便り

新芽萌える、森の湖畔を歩く

  • 更新日:2014年08月27日
  • カテゴリ:自然観察
 
 新芽萌える、森の湖畔を歩く

※写真はクリックすると拡大します。

 ロイヤルシティ芸北聖湖畔リゾートは西中国山地国定公園特別地域の自然豊かな山に抱かれた聖湖の湖畔に広がります。5月の下旬、様々な色をした樹々の新緑が迎えてくれました。初夏の芸北は以前にも訪れたことがありますが、今回はどのような顔を見せてくれるでしょうか。


■新緑
落葉樹が多いため、春は日々変化する新緑、夏は緑陰、秋は紅葉をたっぷり楽しむことができる。

 まずは現地案内所のあるB街区から歩き始めました。シバザクラが満開の庭などを見ながら進むと、大きな樹に小さな実がついているのが目に入りました。オオウラジロノキのようです横の道が緩やかな上りになっているので、高木の樹冠を近くに見ることができます。その先にはオトコヨウゾメとコバノガマズミが並んで生えている場所があります。「今年も咲いているかな?」と近づくと、オトコヨウゾメは長い柄を伸ばし小さな花をつけていましたが、コバノガマズミの蕾は淡い緑色。開花はもう少し先になるようです。大型のガマズミは満開で、虫が集まっていました。白いガクアジサイのように花の固まりの外側だけに装飾花がつくムシカリは林の中でも目を引きます。
 
■左:オトコヨウゾメ(漢字は不明)レンプクソウ(スイカズラ)科ガマズミ属 
本州から九州の明るめの林内や林縁に生育する日本固有の落葉低木。4〜5月、小さな白色の花を枝先にまとめてつける。実は楕円形で数個づつまばらに垂れ下がり9〜10月頃赤く熟す。名前の由来に定説はないが、ガマズミ類を地方によってはヨソゾメというところからきている、という説がある。
■右:ムシカリ(虫喰、虫狩)別名オオカメノキ レンプクソウ(スイカズラ)科ガマズミ属 
北海道から九州の山地に生育する落葉小高木。4〜6月、ガクアジサイのような白色の花のかたまりを枝先につける。周囲の装飾花は5弁。果実は赤色になり熟すと黒色になる。葉は葉脈が目立ち付け根はハート型。葉がよく虫に食べられるので「虫食われ」が名の由来という説がある。別名は葉の形が亀の甲羅に似ていることからついた。

 足元を見るとニョイスミレが小さな花をつけていました。今年も群落を作っています。よく見ると花の上でバッタの子供が休憩中。他にもスミレやシハイスミレなど、何種類ものスミレが最盛期でした。ツボスミレの群落の近くにはショウジョウバカマも花をつけていましたが、この個体は地味な色をしているので、スミレのようには目立ちません。道沿いでは地面に張り付くように葉を広げているニシキゴロモも紫色の花をつけていました
  
■左:ニョイスミレ(如意菫)別名ツボスミレ スミレ科スミレ属 
北海道から九州(屋久島以北)の平地から山地のやや湿った場所に生育する多年草。4〜6月に白色で中心部に紫色の筋がある小さな花をつける。花の上弁は反り返り、側弁に毛がある。葉はハート型。カーブした花柄が僧侶が持つ仏具の如意に似ていることからついた名。別名のツボ(坪)は塀で囲まれた狭い庭の意。「スミレは大工道具の墨入れ(墨壺)に花の形が似ていることから、という説がある。
■中:ショウジョウバカマ(猩々袴)ユリ科ショウジョウバカマ属 
北海道から九州の山野のやや湿ったところに生育する多年草。4〜6月に淡紅紫から濃紫色の花を花茎の先端にまとめてつける。細長い葉が一ケ所からまとまって出る。花を猩々(中国の伝説上の赤い顔をした動物、オラウータンの別名)の顔に、葉を袴に見立てた説と、能の『猩々』の衣装からという説がある。花の色には変異が多く、この株も花の終わりかと思ったが、葯の花粉がついていたので、色変わりのようだ。
■右:ニシキゴロモ(錦衣)シソ科キランソウ属 
北海道から九州の山地や林などに生育する多年草。4〜5月、淡紫色の花をつける。葉の表面は葉脈に沿って紫色に、裏面も紫色を帯び、この葉の美しさから名前がついた。葉は地際に集中し、あまり立ち上がらない。同じキランソウ属のキランソウやジュウニヒトエは全体に毛が多いが、キランソウは少ない。

 続いて公道の聖湖側にあるA街区のマツが多いエリアへ。以前訪れた時にはまだ整備されていなかった園地に向かい林を抜けると、目の前に素晴らしい景色が広がりました。静かな湖面の聖湖と、なだらかな稜線を描く臥龍山の姿は、ロイヤルシティ芸北聖湖畔リゾートの魅力を語る際に欠かすことができない景色です。


■臥龍山と聖湖
臥龍山は標高1223.4mで北広島町の最高峰。地元では苅尾(かりお)とも呼ばれている。ブナやミズナラ、トチノキなどの落葉広葉樹の原生林が広がる。中でも樹齢200年を超すブナの原生林は貴重な存在で、特別保護地に指定されている。
聖湖は樽床(たるどこ)ダムの建設によりできた人工湖。下流には国の特別名勝・三段峡がある。秋には「八幡高原聖湖マラソン大会」が催される。


  ベンチに座り樹々の葉を揺らす風を感じながらこの景色を独り占めするのもいいですね。松林の下ではフモトスミレニオイタチツボスミレなどが咲いていました。樹々の間にはダイセンミツバツツジの薄紫色の花がチラチラと見え、淡い新緑に包まれた林に色を添えています。現地案内所に戻ろうと歩いていると、道沿いの斜面にギンリョウソウをみつけました。不思議な姿で何度見てもムーミンに出て来るニョロニョロを思い浮かべてしまいます。

   
■左:フモトスミレ(麓菫)スミレ科スミレ属 
本州から九州の低地から亜高山帯の林縁や草原に生育する多年草。草丈5cm前後の小さなスミレ。4〜5月に下の花弁に紫色の筋が入る白い花をつける。距(花の後ろの袋状の突起)や花柄、葉裏は紫色を帯びる。名前には麓とつくが、亜高山帯にも生育する。
■左中:ニオイタチツボスミレ(匂立坪菫)スミレ科スミレ属 
北海道南部から九州の日当たりのよい草地に生育する多年草。4〜5月濃紅紫色で中心が白く、芳香のある花をつける。タネをつける頃には30cmほどに立ち上がる。坪(庭や道端)で多く見られ、芳香のある花が盛りを過ぎると茎が立ち上がることからついた名。
右中:ダイセンミツバツツジ(大山三葉躑躅)ツツジ科ツツジ属 
長野県、愛知県、中部地方以西、四国などの山地の林内に生育する落葉低木。4〜5月深く5裂する漏斗状をした紅紫色の花をつける。葉は花と同時期に出る。葉は3枚で葉柄に毛があるのが特徴。鳥取県の大山周辺で発見されたのでついた名。
■右:ギンリョウソウ(銀竜草)別名ユウレイタケ シャクジョウソウ科ギンリョウソウ属 
4〜8月、日本全土の林や森の湿り気のある腐葉土に生育する。葉緑体を持たず、光合成を行わない腐生生活をいとなむ多年草(腐生植物)。姿を竜に見立て、白銀色をしていることからついた名。


 ロイヤルシティ芸北聖湖畔リゾートの地形は平坦な所や緩やかな傾斜地なので、疲れを感じることなく散策することができます。まだまだ歩き足らないので、案内所を通り過ぎ聖湖の上流に向かい歩いてみました。この辺りは川が聖湖に流れ込む浅瀬で、早春には道沿いの樹々の間から見える萌葱色をしたヤナギの芽吹きが美しい場所です。この日は道沿いの1本のズミが白い花をつけていました。足元には複雑な形をしたトキワイカリソウの花も。確かこの辺りにウスギヨウラクがあったな、と水路沿いを覗くと、今年も釣り鐘状の花をひっそりとつけていました。

  
■左:ズミ(酸実、桷) 別名コリンゴ、コナシ、ミツバカイドウ バラ科リンゴ属 
北海道から九州の日当たりのよい山地の林縁や湿原などに生える落葉小高木。5〜6月、5個の白い花弁の花を短枝の先に4〜8個つける。蕾は赤みがかる。実は9〜10月に赤く熟す。エゾノコリンゴとよく似るが、ズミは切れ込みの入った葉がある。ズミの若葉は2つ折り、エゾノコリンゴは巻いて出る。名は樹皮から黄色い染料をとったことから「染み」が転訛した。
■中:トキワイカリソウ(常盤碇草)メギ科イカリソウ属 
東北地方から山陰地方の日本海側多雪地帯の林内に生育する多年草。4〜5月に白色から紅紫色の長い距がある花をつける。葉は常緑で光沢がある。常緑で花の形が船の碇に似ていていることからついた名。
右:ウスギヨウラク(薄黄瓔珞)別名ツリガネツツジ ツツジ科ヨウラクツツジ属 
本州山梨県以西と四国の山地林縁などに生育する落葉低木。4〜6月、白からクリーム色で筒状の花を枝の先端に数個下向きにつける。花の先端は浅く5裂し赤みを帯びる。瓔珞は仏像などの装飾で、花の形が似ていることからついた名。

  広島県の北西に位置する北広島町は島根県に隣接し、現地からは車で数分走っただけで県境を越え島根県に入ります。そこで今回はお隣の島根県を紹介することになりました。
 まずは島根県西部に位置する浜田市にある島根県立石見海浜公園に。バブルリングのパフォーマンスを楽しませてくれるシロイルカのいる島根県立しまね海洋館アクアスや、環境省「日本の快水浴場百選」に選ばれた波子(はし)海水浴場などがあります。アクアスから国道9号線をまたぐ大きな陸橋を満開のトベラを見ながら渡り、砂丘トンネルを抜けると綺麗な白い砂浜と日本海が広がります。綺麗な砂浜ではハマヒルガオハマボウフウ、コウボウムギなどの海浜植物が砂に埋まりながらも花をつけていました。石見海浜公園から見えた石見大崎鼻燈台は工事中で近くに行くことができませんでしたが、断崖の上に建つ燈台を見ている私達の頭上をトビが円を書きながら気持ちよさそうに飛んでいました。

    
■左:トベラ(扉、海桐花)トベラ科トベラ属 
岩手県以南から沖縄の海岸の崖値などに生育する常緑低木。雌雄異株。4〜6月にほぼ白色、後に黄色味を帯びる5弁の小さな花を数個まとめてつける。葉は光沢があり、日差しの強い場所では縁が裏側に巻くことが多い。潮風や乾燥、大気汚染に強いため街路樹によく用いられる。果実は熟すと3つに裂け中から赤橙色のタネが顔を出す。節分に魔除けとして扉に挿したことからついた名。写真は雄花。
■左中:ハマヒルガオ(浜昼顔)ヒルガオ科ヒルガオ属 
日本全土の海岸の砂浜に生育するつる性多年草。海浜植物。葉の形はハート形に近く肉厚で光沢がある。5〜6月に淡紅色でアサガオのような漏斗形の花をつける。砂中に地下茎を伸ばし繁殖するので群落を作ることが多い。海岸に生え花がヒルガオに似ていることからついた名。
■右中:.ハマボウフウ(浜防風)セリ科ハマボウフウ属 
日本全土の海岸の砂浜に生育する多年草。海浜植物。6〜7月、白い小さな花のかたまりをまとめてつける。葉は厚く光沢がある、根はゴボウのように長く、風の病を防ぐ漢方薬のボウフウに似た効果があることからついた名。新芽は食用になる。
■右:トビ(鳶)別名トンビ タカ科トビ属  
北海道から九州の海岸から高い山で最も普通に見られるタカの仲間。翼の先端近くに白い斑が目立つ。飛ぶときに翼の先の6枚の羽根が開く。尾は三味線のバチ形。ほとんど羽ばたかずに大きく輪を描くように飛ぶ。ピーヒョロロロと鳴く。鳶職の語源(鳶口という柄の先にトビの口の形に似た鉤のついた道具を用いたため)。ことわざなどにも古くから登場する身近な鳥。トビの名は「とおくひいる」(遠く高く飛ぶ)が転訛したといわれる。

 浜田市の海沿いには国の天然記念物に指定されている石見畳ヶ浦もあります。波の打ち寄せる音が響く賽の河原洞窟を抜けると、ノジュール(団塊)と呼ばれる腰掛けのような丸い石がたくさん並ぶ不思議な光景が。ここは古くから景勝地をして知られているだけでなく、学術的にも貴重な資料なのだそうです。

  
■左:石見畳ヶ浦の千畳敷 別名:床の浦 
国指定天然記念物。景勝地としても知られる他、およそ1,600万年前に堆積した千畳敷と呼ばれる砂岩層の波食棚や、その表面にできた亀裂(摂理)、腰掛け型の岩(ノジュール)、馬の背と呼ばれる断層崖など、地質学的にも貴重な資料となっている。写真の左下から上に伸びる線が摂理、先に見える丸い岩のようなものがノジュール。磯のかおりは環境省が選定した「香りの風景100選」に選ばれている。
■右:ノジュール(団塊)
貝の炭酸カルシウムなどにより砂が固められ、その後の風化や浸食によって周囲が削られ丸く残ったもの。石見畳ヶ浦のノジュールは11列で並んでいる。これは地殻変動で地層が傾斜したことから。よく見ると貝の化石をみつけることができる。

 浜田市は内陸にも素晴らしい景観があります。「日本の棚田百選」に認定された室谷(むろだに)の棚田は高台から見下ろすと、山々に囲まれた棚田の美しい風景が広がり、その先には日本海も望むことができます。室谷の棚田は歴史があり、かつては4千枚以上あったそうです。今は千枚ほどに減ってしまいましたが、島根では各地の棚田を守るため「しまねの棚田ネットワーク」が設立され、イベントも行われているので参加してみてはいかがでしょう。この日は薄曇りだったので見ることはできませんでしたが、ここから見る夕日も美しいそうです。


■室谷(むろだに)の棚田
「日本の棚田百選」に選ばれた浜田市三隈町室谷地区の棚田。歴史は古く江戸時代以前に成立したといわれる。一時期は4,500枚を超える日本最大規模の棚田だったが、現在は1,000枚ほどに減ってしまった。島根県内の棚田を守るため「しまねの棚田ネットワーク」が設立され様々な保存活動が行われている。

 翌日は浜田市から北東に向かい大田市へ。まず温泉津(ゆのつ)温泉に向かいました。名前に温泉とつく温泉は日本でもここだけ。「石見銀山遺跡とその文化的景観」の一部として世界遺産に認定されました。谷筋に肩を並べるように石州瓦の屋根が連なる温泉街には泉質が違う湯元が2軒あります。今回は日本温泉協会の最高評価「オール5」を受けた天然温泉「薬師湯」の内藤陽子オーナーからお話しをうかがうことができました。カフェとギャラリーに改装された旧館は、軒下にアーチや男湯・女湯の文字の入ったステンドグラスなどがある大正ロマンあふれる木造洋館です。日帰り温泉の新館も張り出し窓があるオシャレな作りで昭和ロマンの雰囲気が。番台の窓にはかつての名前「藤乃湯」時代を偲ばせる藤の花のステンドグラスもあります。浴室内は湯の花がまるで湯船から流れ出た溶岩が固まったように幾重にもついていました。時間がないので入浴はあきらめ手を温泉につけただけでしたが、手と足の裏がさらさらに。スタッフの方の細かい心配りも心地よく、カフェのメニューも美味しそうなだけでなく体にもよさそうだったので興味がわきましたが、今回はおあずけ。次の機会には風情ある温泉街に泊まり、2つの源泉の違いを楽しみ、お腹も喜ぶ温泉三昧をしたいと思います。

 
■温泉津温泉 薬師湯外観
国の重要伝統的構造物群保存地区である温泉津は、「銀を積み出した港と港町」として世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」を構成する14の資産のひとつ。2つの源泉「薬師湯」と「元湯」は近くにあるが泉質は異なる。写真は薬師湯の旧館。奥の張り出し窓があるのが現在の薬師湯。


 琴ヶ浜は「鳴り砂」で有名な砂浜で、「日本の音風景百選」や「日本の浜百選」に選ばれています。浜に足を踏み出した途端、たくさんのカニがいっせいに穴に逃げ込むのが見えました。近づくと穴の周辺の細かい砂の上にカニの足跡と砂の固まりがたくさんあり、砂の固まりを一生懸命運ぶカニの姿を想像してしまいました。キュッキュッという砂を踏みしめる音は、丸みを帯びた石英が多く含まれ、砂粒が小さくそろい、綺麗な砂浜でしか鳴く音を聞くことができないそうです。そんな音を楽しみながら歩いていると、ハマニガナが砂の間から葉を出し花を咲かせていました。琴ヶ浜の近くには仁摩サンドミュージアムがあり、世界最大の砂時計「砂暦」(一年計)や鳴り砂の仕組みなどを見ることができます。

 
■左:琴ヶ浜
浜を歩くとキュッキュッと音がする「鳴り砂」で知られる美しい浜。丸みを帯びた石英が多く含まれ、砂粒が小さくそろい、綺麗な砂浜でしか鳴く音を聞くことができない。
「日本の渚百選」、「日本の音風景百選」に選ばれている。夏は海水浴でにぎわう。
■右:.ハマニガナ(浜苦菜)別名ハマイチョウ キク科ニガナ属 
北海道から沖縄の砂浜に生育する多年草。海浜植物。4〜10月、タンポポに似た黄色い花をつける。地下茎は砂の中を這い、葉と花だけが砂上に出る。茎や葉をちぎると苦い液が出て浜に生えることからついた名。別名は葉の形がイチョウの葉に似ることからついた。

 島根観光といったら世界遺産の石見銀山を外すことはできません。銀鉱山の遺跡だけでなく銀を運び出した道、港など鉱山に関連した場所などを含め、「石見銀山遺跡とその文化的景観」として2007年にユネスコ世界遺産に認定されています。しかしやはりメインは銀鉱山の遺跡。大小600余りある間歩(まぶ)と呼ばれる坑道跡で一般公開されている龍源寺間歩を見学しました。入れるのは実際の坑道の1/4の157mですが、壁面には手彫りのノミの跡が残り、排水のための縦穴や横穴が所々にあります。江戸時代からコツコツと掘り進み600m。気が遠くなるような作業です。


■石見銀山 龍源寺間歩(りゅうげんじまぶ)入り口
石見銀山は大森銀山とも呼ばれ、戦国時代後期から20世紀にかけて採掘された。最盛期には世界の産出量1/3を占めた日本の銀のほとんどが石見銀山で産出されたものだったといわれている。昭和18年閉鎖。600を超えるといわれる間歩(坑道)の中で現在一般公開されている唯一の間歩。江戸時代中頃に発見され昭和18年まで稼働していた。長さは600mに及ぶが、現在公開されているのは約1/4の157m。狭い坑道の壁には手彫りのノミの跡が残っている。入り口周辺のヘビノネゴザというシダは重金属を蓄積するため同様の性質を持つハクサンハタザオと共に鉱山発見の指標植物とされた。


 鉱山町として同時に認定された大森の町並みは、鉱山までの道沿いに武家屋敷や寺社、民家などが並び、しっとりとした風情ある町並みです。石州瓦と呼ばれるこの地方で生産される赤瓦の屋根が続く町並みに丸いポストや瓶などが置かれ、どこか懐かしく心落ち着く雰囲気が漂う、町の人々のこだわりを感じました。龍源寺間歩から町並みを通り城上神社までの道は社団法人日本ウオーキング協会選定の「美しい日本の歩きたくなるみち500選」に選ばれています。


■大森の町並み
大森は鉱山周辺の江戸幕府直轄の150余村を統括した代官所があった政治経済の中心地。寺社、武家屋敷、商家、民家が混在している。この大森の町を含む大森銀山重要伝統的構造物群保存地区(国の指定)は「銀鉱山跡と鉱山町」の一部として世界遺産に認定された。古い建物を改装した店舗や丸いポスト、木枠で囲われた自動販売機など、各所にこだわりもって古い町並を守っている

 この日最後に向かったのはハマナス自生地の近藤ヶ浜。日本海沿岸では西南限地となり、島根県の天然記念物にも指定されています。ハマナスの後方にある樹の片寄った葉の茂り方から、冬場に吹き付ける日本海の風の強さが想像できます。周囲は風除けのネットや竹垣で囲われ、大切に守られていることを伺わせていました。この日も風が強く、足元のシロバナマンテマの小さな花に砂の粒がついていました。

 
■左:ハマナス自生地(浜梨、浜茄子)別名ハマナシ(浜梨)バラ科バラ属 
北海道から本州(太平洋側は茨城県、日本海側は島根県まで)の海岸の砂地に生育する落葉低木。6〜8月に紅色から紅紫色の5個の花弁を持つ花をつける。芳香がある。8〜9月に2〜3cmの果実が熟し赤く熟し食べられる。名前は浜に生え果実が梨に似ていることからハマナシとついたものが転訛したという説や、茄子に例えられたという説がある。『知床旅情』に「知床の岬にハマナスの咲く頃…♪」と歌われ、よく知られている。英名はJapanese Rose。皇太子妃雅子様のお印。
■右:シロバナマンテマナデシコ科マンテマ属 
日本全土の海岸や荒れ地、草地などに生育する1年草〜越年草。ヨーロッパ原産の帰化植物。5〜6月に白色から淡いピンク色の5弁の花をつける。全体に毛があり触ると粘る。花が終わると萼筒が卵状に膨らむ。渡来時の「マンテマン」と呼ばれていたのが名前の由来という説がある。同じく帰化植物のマンテマ(花弁は白色で中央の紅紫色の斑点が目立つ)の基本種。

 芸北は周囲に広がる山々の自然の素晴らしさだけでなく、少し足を延ばすと日本海が作り出した美しい景色や、古くから自然と人が関わってきた歴史を肌で感じることができる場所でした。今回は島根県の海沿いと石見銀山周辺を急ぎ足で廻りましたが、どこも短時間ではもったいないので、お出かけの際はぜひ泊まりがけで、1ヶ所1ヶ所時間をとって、ゆっくり訪ねることをお勧めします。

 ※上記写真はすべて平成26年5月撮影

ロイヤルシティ芸北聖湖畔リゾートのHPはこちらです 

担当スタッフ紹介

ガイド写真

自然観察指導員1級造園施工管理技士
グリーンアドバイザー

関口 亮子

群馬県前橋市出身、恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒業、現在「むろたに園芸研究所」勤務、設計、草花植栽、園芸講座講師を担当、特に自然風の庭造りを得意とする。

 

ご相談はこちら

全国で展開する森林住宅地(田舎暮らし・別荘)のご相談は、ダイワハウスまでお問い合わせください。

森林住宅地に関する質問・疑問などお気軽にご相談下さい WEBでのお問い合わせはこちら

特集コンテンツ