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晩秋の道南を彩る、植物を探しに
今年(2016年)3月26日、北海道新幹線が開業。函館駅とロイヤルシティ鹿部リゾート内にある鹿部駅を結ぶ函館本線のほぼ中間地点にある渡島大野(おしまおおの)駅が新函館北斗駅に生まれ変わり、函館市内や大沼国定公園への新しい玄関口になりました。駅からロイヤルシティ鹿部リゾートへは車で約35分と、駅から函館市街地までの所要時間とほぼ同じ。函館空港からの所要時間の半分ほどとなるので、空路中心だった本州からのアクセスに選択肢が増えたことになります。訪れたのは10月中旬、駅舎が完成し開業に向けて周辺の整備が進められていました。 ※3月26日に開通しています。
■新函館北斗駅駅舎 開業に向け整備が進められる新函館北斗駅周辺。(H27年10月撮影) 函館本線渡島大野(おしまおおの)駅(無人駅)に併設される形で建設された新函館北斗駅駅舎。2016年3月26日北海道新幹線開業に伴い新函館北斗駅と改称し、この駅舎に替わった。外観はゲート風、ガラス越しに見える柱はトラピスト修道院のポプラ並木をイメージし、内は道南スギがあしらわれている。
今回は新函館北斗駅からもロイヤルシティ鹿部リゾートからも近い駒ヶ岳をぐるっとひとまわりしてみました。渡島富士(おしまふじ)という別名がある駒ヶ岳は、かつては富士山のような円錐状だった山が、噴火によって現在のような姿になったのだそうです。そのため、見る角度に寄って同じ山とは思えないほど形が次々と変化するのが魅力のひとつ。いろいろな角度からの駒ヶ岳の姿と、初秋の道南の景色を楽しみに出発しました。
■ロイヤルホテル屋上からの駒ヶ岳(H24年1月撮影)
新函館北斗駅から国道5号線(通称:大沼国道)を北に走り、大沼トンネルを抜けた先を右に折れると鹿部方面に向かう道に入ります。函館本線と並走するこの道は、駒ヶ岳と大沼を背景に走る函館本線の電車を撮影できる場所として知られています。さらに進んで道道43号線(通称:大沼公園鹿部線)を走り、牧草地が広がり始めた辺りで南東に1本入った通称ミルクロードから駒ヶ岳を見てみました。牧草ロールが積まれた牧草地の先に左から最高峰の剣ケ峯、手前に馬の背、右に砂原(さわら)岳と並んでいます。なだらかな裾野をひいた女性的な姿です
■左:大沼(H25年9月撮影) 大沼と駒ヶ岳 府道338号と並走する函館本線。 ■右:ミルクロードからの駒ヶ岳 蝦夷駒ヶ岳、渡島(おしま)駒ヶ岳とも呼ばれる。かつては富士山のような円錐形をした1,700mほどの火山だったため、渡島富士という別名もある。駒ヶ岳の南麓の一部と大沼一帯が含まれる七飯(ななえ)町には駒ヶ岳のビューポイントがたくさんある。牧草地の間のミルクロードからは左に最高峰の剣ケ峯(1,131m)、右は砂原(さわら)岳(1,112m)、わかりにくいが手前に馬の背(892m)。
大沼公園鹿部線で鹿部町に入ると林が途切れ牧草地の先に駒ヶ岳が見える場所がありました。鹿部温泉観光協会が発行している『駒ヶ岳ビューポイントマップ』に紹介されている町内11ヶ所のビューポイントにもあげられている場所です。ここからは左から馬の背、剣ケ峯、砂原岳の順になりました。 次は鹿部町役場の展望台(平日執務時間のみ見学可能)へ。観光推進室に立ち寄ってから3階に上がると、鹿部の街並の先に駒ヶ岳が横たわっています。鹿部町は東が海、西が駒ヶ岳なので、海から昇る朝日と駒ヶ岳に沈む夕陽のどちらも見られるそうです。
■鹿部町役場展望室からの駒ヶ岳 鹿部町役場の3階にある展望室からは街並の先に裾野を広げた駒ヶ岳や太平洋が見渡せる。ここからは砂原岳が一番高く見える。※展望室へは観光推進室に立ち寄ってから。
鹿部町が面した海は内浦湾(噴火湾)と太平洋が交わる豊かな漁場なので、町内には南から鹿部、本別、出来澗(できま)の3つの漁港があり、スケソウダラ、ホタテ、タコ、コンブなど多くの海の幸が水揚げされます。中でもスケソウダラの卵、たらこは町の特産品で、毎年2月には『鹿部たらこ祭り』も開催されます。主催者である商工会青年部と太田食堂が共同開発した『たらこラーメン』と『たらこ丼』があると聞いたので、これは食べないと!と、さっそく太田食堂に向かいました。写真を見たらどちらもおいしそうでしたが、私は『たらこラーメン』を。たらこやホタテが麺の上に乗っているだけでなく、スープにもたらこが入っているので、たらこ好きにはたまりません。たらこ、スケソウダラ、ホタテ、タコの天ぷらが乗っている『たらこ丼』は、たらことスケソウダラの親子天丼。どちらも町民から募ったレシピが参考になっているそうです。たらこをラーメンや天ぷらに、という発想はご当地ならでは。ぷりぷりの鹿部のたらこがたっぷり味わえます。
■たらこラーメン、たらこ丼 昆布やホタテなど海の幸に恵まれる鹿部町。中でも『鹿部たらこ』はブランド品。町民から募ったレシピを基に商工会青年部と太田食堂が共同開発したご当地グルメの『たらこラーメン』と『たらこ丼』は、たらこだけでなく鹿部産の昆布やホタテ、タコなども一緒に楽しめる。
食後は鹿部の町の中を少し見て回ることにしました。市街地から海沿いの国道278号(通称:恵山国道)を恵山方面に南下すると、約103度の天然温泉が約15mも吹き上がる間歇泉(かんけつせん)があります。周辺の『しかべ間歇泉公園』は3月に『道の駅 しかべ間歇泉公園』としてリニューアルし、鹿部の食文化を学び、体験できる施設に生まれ変わるための工事中でした。 さらに南下すると道のすぐ横に三味線滝があります。切り立った岩壁を流れ落ちる滝は落差約20m。滝の水は国道の下を通って目の前に広がる海に流れ込みます。近くにはサワアザミやエゾノコンギクが咲いていました。案内板によると快晴の日はここから羊蹄山、昭和新山、有珠山を望むことができるそうですが、この日は対岸がうっすらと見えるだけでした。
■左:三味線滝 落差約20m。名前の由来は、流れ落ちる音が三味線の音色に聞こえることからという説や、三筋の糸のように流れ落ちていたことからという説がある。冬には滝の周辺が凍りつき美しい造形美を見せる。 ■右:サワアザミ(沢薊) キク科アザミ属 北海道南部から本州の近畿以北(日本海側に多い)の沢沿いなどに生育する多年草。日本固有種。8~9月に紅赤紫色の花を下向きにつける。花の下に4~6個の苞葉をつける。葉が大きく長さ50~60cmほどになり羽状に深く切れ込む。刺は少ない。名前は沢に生育することから。アザミは美しい花に惹かれて近づくと刺があるので、「あざむ」が転訛したという説や、「あざ」(刺を意味する)と「み」(実)からという説などがある。食用にされる。
再び北に向かう途中で1ヶ所寄り道。水産業の町、鹿部町の中心部にある鹿部川は、9月から11月頃までサケが遡上します。川の上流にある鹿部公園までの両岸は遊歩道が整備され、サケを近くから見ることができるので歩いてみると、今回も多くのサケが上流を目指し泳いでいました。街中のそれほど幅も水深もない川を無数のサケが泳ぐ様子には毎回驚かされます。河口に近い『うろこ橋』の近くにはウミネコが集まっていました。力尽きたサケを狙っているのでしょうか。
■左:鹿部川のサケ遡上 鹿部郵便局近くを流れる鹿部川両岸には『せせらぎ散歩道』が整備され、9~11月頃には川を次々と遡上するサケを見ることができる。海沿いに架かる『うろこ橋』の近くでは力尽きたサケを狙ってか多くのウミネコが集まっていた。 ■右:ウミネコ(海猫) カモメ科カモメ属 全国の海岸や港、河口などで見ることができる留鳥、または漂鳥。体長は45cm前後。成鳥の頭部と腹部は白色、背と翼の上部は黒灰色。尾の先にある黒い帯が成鳥になっても消えないのは日本のカモメ類でウミネコだけ。嘴は黄色で先端に黒と赤の斑がある。肢は黄色。ネコのような声で鳴くのでついた名。
海辺の町なので漁港からの駒ヶ岳も見てみようと、鹿部川の近くにある本別漁港にも立ち寄ってみました。何隻もの漁船が係留された先に長い裾野を広げる駒ヶ岳の姿は北海道の漁業の町らしい風景です。足元や防波堤の隙間に生えているハマアカザの写真を撮っていると「虹だ!」という声がしたので、顔を上げると内浦湾から立ち上がる虹が。海の上に架かる虹を見るのは初めてでした。
■左:本別漁港からの駒ヶ岳 鹿部町内には南から鹿部漁港、本別漁港、出来澗(できま)漁港の3つの漁港があり、暖流と寒流がぶつかる海域からサケ、スケソウダラ、ホッケ、イカ、タコなど多くの種類が水揚げされる。屈指の釣り場としても知られ、鹿部漁港では『手ぶら漁港釣り体験』もできる。 ■中:ハマアカザ(浜藜) 別名コハマアカザ アカザ科ハマアカザ属 北海道から本州の砂浜に生育する1年草。8~10月に花を穂状に密集してつける。花に花弁はない。雌花にある三角形の苞2個は花が終わると大きくなり果実を包む。葉は肉質。名前は浜に生育するアカザ(若葉が紅紫色の粉におおわれることから)。 ■右:内浦湾(噴火湾)に架かる虹 茅部郡砂原町砂埼と北海道室蘭市地球岬を結ぶ線及び陸岸により囲まれた海域。湾口幅約30km直径約50km面積2,485km2。噴火湾は周囲に活火山が多いため、内浦湾とつけられた。湾内ではサケ、イカ、カレイなどが獲れ、ホタテの養殖も盛んに行われている。イルカやクジラが見られることもある。
鹿部町の街中を通る国道278号(通称:恵山国道)を北に向かうと、並走していた鹿部道路が合流する辺りから国道はロイヤルシティ鹿部リゾートの中を通ります。道沿いに立つ鹿部駅の標識を目印に斜めに入り管理事務所向けて走っていると、紅葉した樹々の間にゴリラが顔を出しました。鹿部町から見る砂原岳は『ゴリラの横顔』や『獅子のたてがみ』といわれますが、分譲地内から見る姿が最もゴリラらしく見えるようです。
■ゴリラの横顔 分譲地内からの砂原岳はまさに『ゴリラの横顔』。国道278号から鹿部駅の標識を目印に斜めに入り、みなみ北海道鹿部ロイヤルホテルに向けて直進すると、ちょうど正面に左上を向いたゴリラが顔を出す。鹿部町から見る砂原岳は『獅子のたてがみ』ともいわれる。
10月中旬のロイヤルシティ鹿部リゾートは早くも紅葉シーズン。木の実や草の実も多い季節です。白い粉を吹いたような濃い緑色をした葉と赤い実がクリスマスカラーを思わせるアキグミ、豆電球のような赤い実のツルリンドウ、紫色の小さな実のムラサキシキブなどが所々で色を添えていました。
■左:アキグミ(秋茱萸)の果実 グミ科グミ属 北海道から九州の原野や河原などに生育する落葉低木。4~6月甘い香りのある白から淡い黄色の花を葉の元にびっしりつける。秋に丸い果実が赤く熟す。葉は表面に白い点々があり、裏面は銀色の毛で覆われる。グミは秋咲きと春咲きの種類があるが、アキグミは春咲きの代表種。秋に果実が熟すのでついた名。グミは漢名『茱萸』の読みからという説やグイ(刺)ミ(実)が転訛したという説がある。 ■右:ツルリンドウ(蔓竜胆、蔓龍胆)の果実 リンドウ科ツルリンドウ属 北海道から九州の山地の林縁などに生育するつる性多年草。8~9月に釣鐘状の淡い紫色の花をつける。果実は熟すと赤く色づき豆電球のように茎から下がる。つるは紫色を帯びる。リンドウの仲間でつる性ということからついた名。リンドウは漢名のリュウタン(竜胆、龍胆)が転じた。
オトコエシにも丸い玉がついていましたが、こちらは実ではなく虫こぶのオトコエシミフクレフシ、中で幼虫が生活しています。わずかですが秋の花も残っていました。黄色い花はアキノキリンソウに似ていますが、葉が広く花がまとまってつくオオアキノキリンソウです。エゾゴマナの白い花やヒロハクサフジの青紫色の花も見られました。
■左:オトコエシミフクレフシ(男郎花実膨れ附子、五倍子、付子) オトコエシの果実にオトコエシニセハリオタマバエ(タマバエ科)が寄生して球形や扁球形に肥大した虫えい(虫こぶ)。中には数匹の幼虫が入っている。附子、五倍子、付子はこぶのこと。名前はオトコエシ(植物名)の実(つく場所)が大きく膨れた(形状)フシ(コブ)という意味。 ■左中:オオアキノキリンソウ(大秋の麒麟草) キク科アキノキリンソウ属 北海道西南部から本州北部の海岸付近に生育する多年草。9~10月に黄色い花をつける。アキノキリンソウの亜種。アキノキリンソウとの違いは、葉が広い、花が密につく、茎が太い、痩果の上部に毛がある、など。大型のアキノキリンソウ(ベンケイソウ科のキリンソウに花が似ているからことから)の意味。 ■右中:エゾゴマナ(蝦夷胡麻菜) キク科シオン属 北海道の低地から山林の林縁に生育する多年草。8~9月、傘状によく分枝した枝先に白色の花をつける。草丈は150cmにもなる。本州に生育するゴマナに比べ草丈が高く、茎に毛が多い点で見分けるといわれてきたが、個体差がある。名前は北海道に生育し、葉がゴマの葉に似ていて食用になることから菜とついた。 ■右:ヒロハクサフジ(広葉草藤) マメ科ソラマメ属 北海道から本州の海岸近くに生育する多年草。6~9月に淡青紫色の花を一方に偏ってつける。小葉が10~16個でクサフジより少ない。名はクサフジより小葉の幅が広いことから。クサフジの名は草本で花などがフジに似ていることからついた。
この時期はシラタマノキの実もなっているのでは、と美駒平に向かうと、カラマツなどの樹々の林床に小さな白い実がコロコロ。近くには輪生した濃い緑色の葉のオオウメガサソウもありました。葉の間から立ち上がった枝の先に数個の花をつけるのが特徴です。
■左:シラタマノキ(白玉の木)の果実 別名シロモノ ツツジ科シラタマノキ属 北海道から本州中部以北、三瓶山、大山の高山や亜高山帯の草地や林縁に生育する常緑低木。7~8月、スズランに似た白い壺状の花をつける。果実は白色、ときに淡紅白色で9月頃に熟す。果肉をつぶすと湿布薬のような匂いがする。果実が白い球状になることからついた名。 ■右:オオウメガサソウ(大梅笠草) イチヤクソウ科ウメガサソウ属 北海道から本州茨城県以北の海岸近くの山地に生育する多年草。6~7月に白から淡紅色の5弁の花を1茎に3~9個つける。ウメガサソウは1茎に1個。葉は輪生状につく。名前は大型のウメガサソウ(花がウメに似ていて、下向きにつける姿を笠に見立てた)。
分譲地内に多いシラカバやドロノキなどは幹が白っぽいので、紅葉したヤマウルシなどとのコントラストは、足を止めて見入ってしまうほどの美しさでした。足元の落ち葉に混ざって落ちていたのはタネを飛ばしたあとのドロノキの果穂でしょうか。ひとつひとつが4弁の花のドライフラワーのようです。鹿部はドロノキやヤマナラシなどのヤナギ科の樹木が多いので、春には綿毛のついたタネが風に飛び漂う『柳絮(りゅうじょ)』と呼ばれる光景が見られます。
■左:紅葉 シラカバやドロノキ、ヤマナラシな白っぽい樹皮の樹が多いので、高木の紅葉だけでなく、樹々の幹の色と林床の灌木類の紅葉の組み合わせも楽しむことができる。 ■右:ドロノキ(泥の木)の果穂 別名ドロヤナギ、デロ ヤナギ科ハコヤナギ属 北海道から本州中部以北、兵庫県北部の涼しい地域の川辺や湖畔など湿地に生育する落葉高木。雌雄異株。広楕円形の葉はヤマナラシより大きく基部は心形。4~6月葉の展開に先駆けて花をつける。雌花の花穂は15cmほどになり、初夏に果実が4裂し綿毛に包まれた種子を風に飛ばす。この様子は柳絮(りゅうじょ)と呼ばれ、春の季語とされる。
ロイヤルシティ鹿部リゾートでは、ご夫婦で、あるいは犬を連れて散歩をされているオーナーさまとよくすれ違います。全体的に平坦なので歩きやすく、明るく開放的な庭の間の道や、樹々に囲まれた道、海が見える緩やかな坂道など景色に変化があるので、日によって歩くコースを変えるのも楽しそうです。また湿度が低く1年を通じて比較的温暖で春と秋が長いのも魅力。人だけでなく、夏の暑さに弱い犬にとっても住みやすい環境といえるでしょう。時にはキタキツネやエゾリスなど、野生の動物との出会いも、というおまけもあります。
■左:分譲地で現れたキタキツネの兄弟 ■右:オーナー様のオープンデッキに現れるエゾリス
恵山国道を北に進み森町に入ると、渡島沼尻駅への分岐辺りではまだゴリラに見えますが、徐々に横顔は彫が浅くなり、やがて姿を消します。砂崎灯台という標識に誘われ右折すると、まもなく道は高い草の間の未舗装の道に。不安を感じながらもさらに進むと視界が開け、荒涼とした草原と砂原の中にポツンと立つ紅白の灯台、その先に砂浜と海が見えました。砂原、砂崎海岸と言う地名に納得。砂鉄が多く含まれているのか黒っぽい砂浜には強い風で砂紋ができていました。海の先には室蘭方面も見えます。振り返ると灯台の他には造形物はなく、ゆったりと裾野を広げた駒ヶ岳の姿がありました。
■左:渡島沼尻駅入り口付近からの駒ヶ岳 沼尻からは剣ケ峯が砂原岳に隠れて見えなくなる。左から東丸(481m)、馬の背、砂原岳。 ■右:砂崎海岸からの砂崎燈台と駒ヶ岳 砂崎灯台は砂浜に立つ珍しい灯台。広い砂地に紅白の小さな灯台がポツンと立つ。砂原海岸は渡り鳥の観察ポイントとして野鳥愛好家達に人気があり、なかでも個体数の少ない最大最強のハヤブサであるシロハヤブサに出会える場所として知られる。シロハヤブサは北海道新幹線車輛に描かれているシンボルマークのモチーフになっている。
足元の枯れ草の間には砂に埋まりかけたウンランのキンギョソウに似た黄色い花が。他にも数珠玉がつながったようなユニークな形の実をつけたオニハマダイコン、コウボウムギの枯れた穂、白い毛で覆われたシロヨモギ、少ししなびたハマナスの実など、多くの種類の海浜植物が見られました。暖かくなったらどんな景色が広がるのでしょうか。
■左:ウンラン(海蘭) オオバコ(←ゴマノハグサ)科ウンラン属 北海道から四国の海岸に生育する多年草。海浜植物。8~10月に淡黄色で中心が濃い黄色の花をつける。葉は肉厚で茎と共に粉白色を帯び、這うように広がる。海辺に生え、ランに似た花をつけることからついた名だが、ランというよりキンギョソウに似ている。 ■中:オニハマダイコン(鬼浜大根) アブラナ科オニハマダイコン属 ヨーロッパや北アメリカ原産の帰化植物。1~2年草。海浜植物。6~8月に白色から淡い紫色の小さな花を穂状につける。果実はだるま状に2個重なり上部は大きく先が尖る。風で飛ばされたり海流によって短期間で急速に生育地を広げている。ハマダイコン(浜に生育する大根)に似るが剛健なのでオニとついた。 ■右:コウボウムギ(弘法麦) カヤツリグサ科スゲ属 北海道南西部から九州の海岸の砂地に生育する多年草。雌雄異株。海浜植物。葉は細長く厚みがある。花茎は三角柱状で4~7月に花をつける。雌株の穂は雄株の穂に比べてずんぐりし、茎も太い。古い葉の繊維を筆に使ったことから書の達人の弘法大師と、麦に似た穂の形からついた名。 ■左:シロヨモギ(白蓬) キク科ヨモギ属 北海道から本州の茨城県、新潟県以北の日当りのよい海岸砂地などに生育する多年草。海浜植物。全体が白い綿毛で覆われ、雪のように白いことからついた名。8~10月、黄色い花を円錐状にたくさんつける。筒状花のみで舌状花はない。 ■右:ハマナス(浜梨、浜茄子)の実 別名ハマナシ(浜梨) バラ科バラ属 北海道から本州(太平洋側は茨城県、日本海側は島根県まで)の海岸の砂地に生育する落葉低木。海浜植物。6~8月に紅色から紅紫色をした5弁の花をつける。花は8cmほどで芳香がある。8~9月に2~3cmの果実が熟し赤く熟し食べられる。名前は浜に生え果実が梨に似ていることからハマナシがなまったという説や、茄子に例えられたという説がある。『知床の岬にハマナスの咲く頃…♪』と『知床旅情』に歌われている。英名はJapanese Rose。皇太子妃雅子様のお印。
恵山国道から少し駒ヶ岳側に入ると、目の前に大きくそびえ立つ砂原岳の荒々しい山肌がはっきり見えてきます。右側には尖った剣ケ峯が姿を出し、大沼公園や鹿部町からとは全く違う男性的な印象に変わりました。森町には2つの道の駅があり、どちらにも駒ヶ岳や内浦湾などを一望できる展望室があります。地元の農産物や水産物、加工品が購入できるのも魅力。『つどーるプラザさわら』からは中央に大きく砂原岳、右に小さく尖った剣ケ峯が見えました。『道の駅 YOU・遊・もり』に隣接するオニウシ公園は約500本のサクラが楽しめる名所だそうです。
■左:駒ヶ岳 近景 国道278号から函館本線を超えて、駒ヶ岳に近づいた場所から。大きく目の前にそびえ立つ砂原岳の山肌に深く刻まれたが谷が無数に見える。 ■右:つど~る・プラザ・さわらからの駒ヶ岳 森町(旧砂原町)国道278号沿いにある道の駅。森町の農産物や水産物の販売、休憩スペース、展望ホールなどがある。4階にある展望ホールからの眺望は360度。天気がよければ、噴火湾の先に室蘭を望むことができる。森町のもう1つの道の駅『YOU・遊・もり』の周辺にはサクラの名所のオニウシ公園や青葉ヶ丘公園がある。
最後に駒ヶ岳の西にあるシャロレー牧場に立ち寄ってみました。恵山国道から大沼国道に入る辺りでは砂原岳と剣ケ峯が双子山のように並んで見えていましたが、この辺りからは剣ケ峯が手前に大きく見え、砂原岳が尖った形に変わります。シャロレー牧場は歴史のある牧場で道産子の保全も行っているそうです。大きく澄んだ目をした馬達は人によく慣れていて穏やかな性格なので、柵に近付くと次々と寄ってきます。この牧場の魅力は駒ヶ岳を眺めながら100万坪の広大な敷地をホーストレッキングできること。想像しただけでも気持ちが良さそうです。乗りたかったのですが時間がなくて断念。いつか馬上から駒ヶ岳を見てみたいです。
■シャロレー牧場からの駒ヶ岳 1960年頃に日本ではじめてシャロレー牛をフランスから輸入し飼育した歴史ある牧場。『太陽野郎』というドラマのモデルは当時の牧場主で、牧場がロケ地になった。現在は駒ヶ岳を眺めながら100万坪の敷地内で乗馬体験、ホーストレッキングが楽しめる牧場で、シャロレー牛は飼育していない。
今回ひとまわりした駒ヶ岳は、大沼とともに北海道で最初に指定された国定公園『大沼国定公園』です。指定地域だけでなく周辺も豊かな自然に囲まれ、雄大な景観や温泉、ハイキング、釣りなど様々な楽しみ方ができます。今回は慌ただしい行程でしたが、温泉やご当地の味を楽しんだり、自然や文化などに触れたりしながら、ゆっくりとお好みのビューポイントを探してみてはいかがでしょうか。
おまけ 今回の宿泊は函館市内だったので朝の散策は五稜郭に行ってみました。五稜郭タワーはまだ営業時間前だったので、上から見るのは諦めて五稜郭公園へ。五稜郭公園は函館随一のサクラの名所で、花の咲く5月初めには多くの人で賑わうそうです。タワーから眺める桜色に染まる五芒星は見事だろうなと想像しながら、堀の内側の土塁の上を一周しました。土塁の上からは一段下に植えられているサクラの枝が近くに見えるので、いろいろな角度から花を楽しめそうです。歩いているとアカマツの間に建物が点在しているのが見えました。中でも目を引く黒い壁と赤瓦の屋根の上に太鼓櫓が乗った特徴的な建物は、箱館戦争後に解体された箱館奉行所の1/3を部分復元したものだそうです。明治維新の際には戊辰戦争最後の戦い、箱館戦争の舞台となった五稜郭ですが、現在は堀の外周が1,815mのウォーキングやランニングのコースとして整備されるなど、市民や観光客に親しまれる場所になっています。この朝も多くの人がジョギングや散歩を楽しんでいました。
■箱館奉行所 江戸時代後期に北の守りのために設置された。1864年に函館山の麓から現在の地に移転。1868年に戊辰戦争最後の戦い箱館戦争の舞台となった後、1871年(明治4年)に解体される。現在の建物は2010年に1/3が復元されたもの。五稜郭は箱館奉行所移転先として築造された星形の城郭。
ホテルへの帰り道、探し物をしながら歩いていると、ありました!イカがデザインされたマンホールです。近くにはカラーの物や五稜郭と旧箱館区公会堂がデザインされた物もありました。他のデザインもあるとか。市町村の花や木、鳥、名産品などをデザインしたご当地マンホールは見ていて楽しいです。そして、北海道の道を歩くときのもうひとつの楽しみが地上式消火栓です。函館市は黄色、鹿部町の分譲地内は赤色と、市町村によって色や形が異なります。そんな所にも目を向けながら歩くといろいろ発見があります。ただし、車や自転車などにはくれぐれもお気をつけください。
■左:ご当地マンホール 函館市には、イカ、五稜郭と旧函館区公会堂、函館ハリストス正教会とカモメ、タコのデザインマンホールがあり、それぞれ無着色のものと着色されたものがある。 ■右:消火栓 函館市内の消火栓。正式名は函館型三方式地上消火栓。地下にある消火栓だと雪に埋もれてしまい素早い消火作業ができないため、地上形の消火栓が設置された。
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担当スタッフ紹介
自然観察指導員1級造園施工管理技士グリーンアドバイザー
関口 亮子
群馬県前橋市出身、恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒業、現在「むろたに園芸研究所」勤務、設計、草花植栽、園芸講座講師を担当、特に自然風の庭造りを得意とする。
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