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スタッフからの現地便り

壮大な森に抱かれし、美しき湖畔

  • 更新日:2011年10月06日
  • カテゴリ:自然観察
壮大な森に抱かれし、美しき湖畔

※写真をクリックすると拡大します。

 
▲聖湖から望む臥龍山                   ▲分譲地内の新緑

芸北の魅力はなんと言っても緑の美しさです。今回訪ねたのは梅雨入り直前の6月上旬。淡い緑が迎えてくれました。

ロイヤルシティ芸北聖湖畔リゾートは、まだ一部しか整備されていないので、ゆっくり時間をかけて歩くことが出来ました

まずは、アカマツの多いA街区へ。明るい林の縁でコバノガマズミが枝先に白い小さな花をつけていました。足下にはこの時期でもまだまだたくさんのスミレの花が残っています。コケの間から小さな花を立ち上げているのは、葉脈に白い斑が入るフイリフモトスミレです。

 
■左:コバノガマズミ(小葉の萊蒾) スイカズラ科ガマズミ属
本州から九州の丘陵地や山地に生育する日本固有の落葉低木。4~5月、白い小さな花のかたまりをつける。丸い実は9~11月に赤く熟す。ガマズミに比べて葉が小さくて細長く先が尖る。花のかたまりもガマズミより小さい。
■右:フイリフモトスミレ(斑入麓菫) スミレ科スミレ属
本州から九州の低地から亜高山帯の林縁や草原に生育する多年草。4~5月に、下の花弁に紫色の筋が入る白い花をつける。フモトスミレの斑入り種。名前に麓とつくが、亜高山帯でも生える。
林の下ではチゴユリが可愛い花をつけていますが、近くにはちょっと変わったものが。白いキセルのような形をしたギンリョウソウがあちらこちらに立っている姿は、ムーミンに出てくるニョロニョロがいるようです。

以前にも出会ったことがあるので、芸北ではタイミングが合えば容易に見ることができるようです。
 
■左:チゴユリ(稚児百合) ユリ科チゴユリ属
本州から九州の山地に分布する多年草。4~5月、茎の先に1~2個可憐な白い花を下向きにつける。葉の色が淡い緑色なので林の中で群生していると周囲が明るく感じられる。花後、黒い実をつける。名前は花を稚児行列の稚児にたとえた。
■右:ギンリョウソウ(銀竜草) 別名:ユウレイタケ イチヤクソウ科ギリョウソウ属 
日本全土の林や森の湿り気のある腐葉土に生育する。葉緑体を持たず、光合成は行わない。菌類から栄養をもらって生活している多年草(腐生植物)。5~8月、白い花を下向きにつける。姿を竜に見立て、白銀色をしていることからついた名。
斜面の上方ではレンゲツツジがオレンジ色の花をつけています。

さらに目を上に向けると、ヤマボウシは開花直前で苞もまだ緑色。平らに広げた枝の上に行儀よく並ぶ姿が微笑ましいな、などと思いながら歩を進めました。
 
■左:レンゲツツジ(蓮華躑躅) ツツジ科
本州から九州の高原などに分布する落葉低木。つぼみが蓮華(ハスの花)のようにつくのでついた名。有毒で家畜も食べないため放牧地でも残り目立つ。4~6月に日本のツツジの中でもっとも大きい花を咲かせる。花が黄色いものはキレンゲツツジと呼ばれる。
■右:ヤマボウシ(山法師、山帽子) 別名:ヤマグワ ミズキ科ミズキ属
北海道から九州の山野に生育する落葉高木。6~7月白い4弁の苞の中心に黄緑色の小さな花の固まりをつける。9月頃に赤く熟す果実は食べられる。横枝を水平に広げる樹形と紅葉も美しいことから庭木や街路樹としても用いられる。花を僧兵の頭、苞を頭巾に見たてつけられた名。
次にB街区をぐるっと一周して現地案内所に向うことにしました。B街区は落葉樹の林なので、アカマツの多いA地区とは印象の違う緑を楽しむことが出来ます。
聖湖に流れ込む水路の脇ではアズキナシナナカマドが白い花をつけています。
近くには小さな花をたくさん立ち上げているニョイスミレの群落もありました。灰色がかった幹がまっすぐ伸びる先を見上げると、枝の上にホオノキの大きな花が。大きな葉は朴葉味噌に使われます。
  
■左:アズキナシ(小豆梨) 別名:ハカリノキ バラ科ナナカマド属
北海道から九州の山地に生える落葉高木。5~6月白色の小花を多数まとめてつける。秋につく赤い果実が小豆に似て、表面に梨のように点があることからついた名。別名は若い枝の皮目を秤の目にたとえた。地方名が多く場所によってはナナカマドと呼ぶところもある。
■中:ナナカマド(七竃) バラ科ナナカマド属
北海道から九州の山地から深山に生育する落葉高木。6~7月、枝先に白色の小花をまとめてつける。9~10月に果実が赤く熟し、紅葉とともに北国の山を彩る。生木が7回かまどに入れても燃えないで残る、ということからついたといわれるが、実際は燃えるらしい。
■右:ニョイスミレ(如意菫) 別名:ツボスミレ スミレ科スミレ属
北海道から九州(屋久島以北)の平地から山地のやや湿った場所に生育する多年草。4~6月に白色で中心部に紫色の筋がある小さな花をつける。葉はハート型で、茎は柔らかく倒れやすい。僧侶が持つ仏具の如意(孫の手のような形)にカーブした花柄が似ていることからついた名。別名のツボ(坪)は塀で囲まれた狭い庭の意。
日当たりのいい道沿いのムラサキサギゴケの群落は、小さな花をたくさんつけ、薄紫色の金平糖を散りばめたようです。

緩やかな坂道を歩いていると、オトコヨウゾメの近くにコガクウツギも咲いていました。どちらも白い小さな花がまとまってつきますが、オトコヨウゾメは少しうつむき加減に、コガクウツギ上向きに花をつけるのが特徴です。
 
■左:ムラサキサギゴケ(紫鷺苔) ゴマノハグサ科サギゴケ属
本州から九州の田のあぜや草地、土手などの少し湿った場所に生育する多年草。4~6月に淡紫色から紅紫色の花をつける。紫色のサギゴケ。サギゴケは白花で、花の形が鷺に似ていて苔のように地面に広がることからついた名。トキワハゼによく似るが、花が大きく、黄色い斑紋に毛があり、茎は這う。
■右:オトコヨウゾメ(漢字は不明) スイカズラ科ガマズミ属
本州から九州の明るめの林内や林縁に生育する日本固有の落葉低木。4~5月、小さな白色の花を枝先にまとめてつける。楕円形の実は数個づつまばらに垂れ下がり、9~10月頃赤く熟す。名前の由来に定説はないが、ガマズミ類を地方によってはヨソゾメというところからきている、という説がある。
現地案内所に戻りましたが、他の場所を取材しているグループはもう少しかかるということなので、隣接する聖湖の湖畔まで降りてみる事にしました。

途中の林の中に小さな花を花火のように球形につけているタチシオデの雄株を見つけました。雌株に比べるとひとつひとつの花がスマートです。

少し雲っていましたが、聖湖の水面と周囲の林、山々、空、それぞれの色が美しく調和して、しばらく時間を忘れて佇んでいました。
公道に戻り歩いていると現地案内所近くの流れの脇にウスギヨウラクの花がありました。

湖畔に向う道沿いの株は花が終わっていましたが、ここではまだ少し残っていたので写真を撮り、今回の散策を締めくくりました。

緑に囲まれた芸北は、新緑や秋の紅葉はもちろん、夏の深緑も素晴らしい所です。緑の変化と季節ごとに咲く可憐な花々を楽しみに、何度でも訪ねたい場所です。
  
■左:タチシオデ(立牛尾菜)の雄花、中:雌花 ユリ科シオデ属
本州から九州の山野に生育する雌雄異株の多年草。5~6月に黄緑色の花を小さな球状につけ、秋に果実が黒く熟す。シオデに似るがシオデ(アイヌ語からきた名)の茎がつる状に伸びるのに対し、成長途中のタチシオデは立ち上がるのでこの名前がついた。成長するとタチシオデもつる状になる。
■右:ウスギヨウラク(薄黄瓔珞) 別名:ツリガネツツジ ツツジ科ヨウラクツツジ属
本州山梨県以西と四国の山地林縁などに生育する落葉低木。4~6月、白からクリーム色で筒状の花を枝の先端に数個下向きにつける。花の先端は浅く5裂し、赤みを帯びる。瓔珞は仏像などの装飾で、花の形が似ていることからついた名。

【芸北周辺の見どころスポット】


■三ツ滝(分譲地より約12.5km)
聖湖の下流にある三ツ滝は、名勝「三段峡」の滝の一つ。芸北リゾートから一番近い滝です。


■かきつばたの里(分譲地より約6.6km)
八幡湿原のカキツバタを保護している「かきつばたの里」で花が咲き始めていました。


■井仁の棚田(分譲地より約32km)
戸河内インター近くにある「井仁の棚田」は、棚田百選に選ばれています。いつまでも残してほしい日本の原風景のひとつです。

※上記写真はすべて平成23年6月撮影

 




担当スタッフ紹介

ガイド写真

自然観察指導員1級造園施工管理技士
グリーンアドバイザー

関口 亮子

群馬県前橋市出身、恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒業、現在「むろたに園芸研究所」勤務、設計、草花植栽、園芸講座講師を担当、特に自然風の庭造りを得意とする。

 

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