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スタッフからの現地便り

外輪山の山々を見ながら

  • 更新日:2009年06月25日
  • カテゴリ:四季だより

※写真はクリックすると拡大します。

■大観峰から望む阿蘇の山々

  
■ニョイスミレ(如意菫)別名ツボスミレ スミレ科スミレ属
北海道から九州(屋久島以北)の平地から山地のやや湿った場所に生育する多年草。4~6月に白色で中心部に紫色の筋がある小さな花をつける。葉はハート型で、茎は柔らかく倒れやすい。僧侶が持つ仏具の如意(孫の手のような形)にカーブした花柄が似ていることからついた名。別名ツボ(坪)は塀で囲まれた狭い庭の意。
 訪れたのはスミレの花が咲く頃。数種類のスミレの中でも、特に多く目にしたのは、草むらの中から小さな花を覗かせていたニョイスミレでした。
群落を作って黄色い小さな花をつけていたのはコメツブツメクサ。あちらこちらでムラサキケマンの花も見られました。

 
■コメツブツメクサ(米粒詰草)別名キバナツメクサ、コゴメツメクサ マメ科シャジクソウ属
ヨーロッパから西アジア原産の帰化植物。1年草。全国の道端や河川に群生する。葉は3枚が1セット。
5~7月、5~20個の黄色い花を球状につける。花は受粉すると垂れ下がり残る。よく似るコウマゴヤシやコメツブウマゴヤシは花が落ちたあとに渦巻き状に巻いた豆実をつける。ヨーロッパからガラス製品の保護用に詰められて来たツメクサ(シロツメクサ)の仲間で、花が米粒のように小さいことからコメツブ(コゴメ)とついた。
 
■ムラサキケマン(紫華鬘)ケシ科キケマン属
全国のやや湿った林縁などに生育する2年草。4~6月、紅紫色の花を枝先につける。葉は羽状に細かく裂ける。華鬘は仏前を飾る仏具で、これに花の形が似ていて、紫色をしていることからついた名。
花の形は似ていますが黄色い花のフウロケマンも。敷地内は大きな樹が少ないため全体的に明るい印象を受けますが、開きはじめの葉がきれいなハリギリの大木が生えているところもありました。近くにはすっと立った茎の先に濃い紫色の花をつけたテンナンショウが。この変わった花は苦手な人もいるようです。周囲はまだ造成されていない場所があるので、鳥の声がたくさん聞こえる林の中を散歩することもできます。今回はウグイスの声がよく聞こえ、少し湿った場所を好むヤマネコノメソウも見ることができました。
 
■左:ハリギリ(針桐)別名センノキ ウコギ科ハリギリ属
北海道から九州の山地に生育する落葉高木。7~8月、淡緑色の小さな花が球形に集まり花火のように枝先につく。若い枝には鋭い刺があり、太くなるとイボ状に、さらに太くなると深い裂け目になる。葉は掌状に5~9列し、秋には黄葉する。展開したての芽は山菜として用いられる。刺があり材がキリに似ていることからついた名。太い幹に絡み付いているのはツタとキズタ。
■右:テンナンショウ(天南星)の仲間 サトイモ科テンナンショウ属
この仲間は日本全土の山野の林床に生える多年草。一部を除き雌雄異株だが、栄養状態によって性を変える。春から初夏、花茎の先に仏炎苞(仏像の後方にある光背にみたてた)に包まれた花をつける。花後は苞が枯れ、雌株は多数の朱赤の果実がつきよく目立つ。名は漢方名に由来する。仏炎苞の色や生育地からみてヒトヨシテンナンショウ(人吉天南星)と思われる。
★写真集
  
■左:フウロケマン(風露華)ケシ科キケマン属
本州中部以西から九州の日当たりの良い山地や低地に生育する多年草。4~7月、黄色い花を枝先に多数つける。葉は羽状に細かく裂ける。
■中:ヤマネコノメソウ(山猫の目草)ユキノシタ科ネコノメソウ属
北海道から九州の湿った林内に生育する多年草。3~4月、花茎の先に花をつけるが、花弁に見えるのは萼。ネコノメソウの仲間の多くは葉が対性につくが、これは互性。全体に毛がまばらにある。裂開した果実の形が猫の目の瞳孔に似ていることからついた名。写真は種子が雨で流れ出て茎についている。ヤマとつくがそれほど山でなくても見られる。
■右:セイヨウミヤコグサ(西洋都草)マメ科ミヤコグサ属
ヨーロッパ原産の帰化植物。多年草。日当たりの良い道端や河原、海岸などに生育する。4~7月に蝶形の黄色い花をつける。在来種のミヤコグサは花を1~3個つけるが、セイヨウミヤコグサは3~7個で、葉や茎などに毛があることで見分けられる。ミヤコグサという名は京都に多かったことによるといわれる。
 
■左:ハルジオン(春紫苑)別名ハルジョオン キク科ムカシヨモギギク属
北アメリカ原産の帰化植物。多年草。各地で雑草化している。4~6月、花弁のように見える舌状花を多数もつ花をつける。糸状の舌状花は白色から淡紅色。つぼみの時にうなだれ、舌状花が多い点がよく似るヒメジョオンとの違い。他にも茎が中空で葉が茎を抱く点でも見分けることができる。秋に咲くシオンに似ているが春に咲くことからついた名。
■右:ゼンマイ(銭巻)ゼンマイ科ゼンマイ属
全国の原野や林に生育するシダ植物。渦巻き状に巻き、綿毛で覆われた新芽は、ワラビとともに山菜のシダとしてよく知られる。この綿毛はぜんまい織りという織物に用いられた。新芽が銭を巻いているように見えることからついた名。
※上記写真はすべて平成21年4月撮影
 




 

担当スタッフ紹介

ガイド写真

自然観察指導員1級造園施工管理技士
グリーンアドバイザー

関口 亮子

群馬県前橋市出身、恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒業、現在「むろたに園芸研究所」勤務、設計、草花植栽、園芸講座講師を担当、特に自然風の庭造りを得意とする。

 

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