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スタッフからの現地便り

雲海見下ろす、佐田岬の丘を歩く

  • 更新日:2015年08月31日
  • カテゴリ:自然観察
雲海見下ろす、佐田岬の丘を歩く

※写真をクリックすると拡大します。

 瀬戸内海に浮かぶ小さな島が桜色に霞む4月の初め。ロイヤルシティ佐田岬リゾートのある佐田岬の山々もたくさんの桜で彩られていました。
 松山空港から佐田岬へ車で向かうには、一般道を走るルートと、松山自動車道を伊予ICから大洲ICまで利用し、その後一般道を走るルートがあります。
 今回は一般道を走ることになりました。瀬戸内海沿いの道は夕陽が美しく、『ゆうやけこやけライン』と呼ばれています。山の斜面のヤマザクラや線路沿いのソメイヨシノが綺麗に咲いていたので、JR予讃線の下灘駅近くでひと休み。菜の花も満開で、道行く人も車を止めて写真を撮っていました。佐田岬までは距離がありますが、複雑なリアス式海岸をもつ日本一細長い半島ならではの変化に富んだ景色が続きます。

■ゆうやけこやけライン
愛媛県の伊予市から宇和島市まで続く国道378号線のうち、瀬戸内海の伊予灘に沿って走る伊予市から八幡浜市までの区間は、美しい夕陽が見られることから『ゆうやけこやけライン』という愛称で呼ばれている。JR予讃線と並走する区間が長い。写真は下灘駅近くの閏住から見た南西方面(佐田岬方面)。

 
佐田岬半島を付け根の八幡浜市から先端の三崎港まで縦貫する国道197号線は、『佐田岬メロディーライン』と呼ばれ、瀬戸内海の伊予灘や宇和海、山の斜面を覆う愛媛県特産のみかん畑、など次々と変わる景色の中を走ります。途中には『道の駅 伊方きらら館』や『道の駅 瀬戸町農業公園』、ロイヤルシティ佐田岬リゾートに近い『大久展望台』など、景色を見ながら休憩できるスポットもあります。四国最西端の温泉亀ヶ池温泉もお勧めです。
 
■亀ヶ池
メロディーラインから見下ろすと桜の咲く山に囲まれた入江のように見える亀ヶ池。土砂により海と切り離された潟湖(せきこ)の亀ヶ池には、畳八畳もある大きなカニが住んでいたという伝説が残る。湖畔の亀ヶ池温泉(伊方町健康交流施設、写真下)は四国最西端に位置する温泉で、日帰り入浴や地元の食材を使った食事が楽しめる。この春には簡易宿泊施設もオープンした。

 
伊方町は風力発電が盛んな町で、山の尾根に並ぶ白い風車は伊方町を代表する風景となっています。その数58基。その中の『せと風の丘パーク』内の9基は大和ハウスグループの風車です。
 風車は道路沿いにあるので、すぐ近くで大きさを体感することができます。青い海と空、緑の山、そして白い風車を眺められる場所もありますが、進むうちに霧が出てきました。海抜0mから一気に立ち上がった標高300m近くの山並みが続く佐田岬の特徴でしょうか。樹々に覆われた斜面に海からの風が当たり、次々と霧が生まれる様子が下に見え、まるで雲上人になったような不思議な気分でした。周辺のヤマザクラの花はまだチラホラ。残念ながら桜色が加わった景色は見られませんでした。
 
■風車 
伊方町は遮る物なく吹く佐田岬の強い風を資源として利用するために風車発電を進め、60基(現在58基が完成)の風車が計画されている。青い海と空を背景に白い風車が緑の尾根に並び建つ様子は、クリーンエネルギーの町、伊方町を象徴する風景となっている。9基は大和ハウスグループが建設、運営している。

 
この日はロイヤルシティ佐田岬リゾートも濃い霧の中。現地の散策は早めに切り上げ、喜多郡内子町にあるシダレザクラを見に行くことにしました。分譲地から八幡浜市方面に向けて走っていると、『みかんの花咲く丘』のメロディーが。道の駅瀬戸農業公園の前に設置されているメロディー道路です。一緒に鼻歌を歌いながら道沿いの樹に絡み付いたアケビの写真を撮っていると、笑ってしまいそうな調子の外れたメロディーも聞こえてきました。制限速度を守り一定の速度で走らないと音痴になってしまうそうです。安全運転で気持ち良い『みかんの花咲く丘』を奏でましょう。
 
■左:メロディー道路
アスファルトに溝を掘り、その間隔で音階を、数で音の長さを調整することで、走行音がメロディーに聞こえる。制限速度を守り一定の速度で走らないと綺麗には聞こえないため、スピードの出し過ぎ抑制になる他、スリップ防止や居眠り防止などの効果もある。メロディーラインでは道の駅瀬戸農業公園前の八幡浜市方面へ向かう上り線に設置され、『みかんの花咲く丘』をフルコーラス聞くことができる。路面の50の上に♪マークが書かれている。
■右:アケビ(木通、通草)アケビ科アケビ属
本州から九州の山野に生育する落葉つる性木本。4~5月に垂れ下がった花序の先端に雄花、付け根に雌花をつける。花弁はなく淡紫色の花弁のように見えるのは萼片。紫色の果実は9~10月に熟して裂開する。果肉は白色で果皮と共に食用になる。葉が3枚のはミツバアケビ、3枚か5枚で縁に鋸歯があるのはゴヨウアケビ。名前の由来は果実の色から『朱実』『赤実』(あかみ)が転訛した、果実が熟すと口を開くことから『開け実』などの説がある。写真の上部に1個だけある大きい花は雌花、その下で数個まとまってついているのが雄花。

 
近くのまだ緑の少ない林縁では艶のある2種類の葉が目を引きました。ひとつは伊方町の花のツワブキ。花が少ない冬に鮮やかな黄色い花をつけ、海岸近くの岩場や林を彩ります。道沿いで摘んでいた人は茎をきゃらぶきにするのでしょうか。もうひとつはウバユリです。先が尖った細長いハート形の葉は夏には枯れ、すっと立ち上がった茎にテッポウユリに似た緑がかった白い花をつけます。
 
■左:ツワブキ(石蕗)キク科ツワブキ属
本州(日本海側は石川、太平洋側は福島以西)から沖縄の海岸付近に生育する多年草。庭にもよく植えられる。葉はフキに似ているが、肉厚で光沢があり常緑。10~12月に長い花茎の先に黄色い花を多数つける。名は葉につやがあるフキ(艶蕗)が転訛したといわれる。若い葉柄は『きゃらぶき』として食用になる。
■右:ウバユリ(姥百合)ユリ科ユリ属
関東地方以西から四国、九州の山野に生育する多年草。7~8月、1m近くになる茎に緑白色の花を横向きにつける。花の咲く頃には葉が枯れていることが多いことから『歯なし』と『葉なし』の語呂合わせからついた名といわれる。

 内子町の中心部から山間の細い道を北に進むと、『美しい日本のむら景観百選』に選ばれた農村風景が広がる石畳地区に着きました。小高い石積みの上に立つ『石畳東のシダレザクラ』は、愛媛県の天然記念物に指定されています。ライトアップまで少し時間があるので、周辺を少し歩いてみました。
 近くにある弓削神社の参道はこの地域に残る屋根付き橋のひとつで、太鼓橋(日本百名橋 番外)と呼ばれ、この橋を見るために訪れる人もいるそうです。辺りが暗くなってきたので戻ってみると、先程とはまったく違う姿の桜が。宵の空に浮かんだ月と照明の光に浮かび上がる桜の幻想的な景色に、時間を忘れてみとれてしまいました。
 
■石畳東のシダレザクラ
愛媛県指定天然記念物。樹齢推定250年以上。樹高5.5m、枝張り東西約14m、南北約15m。エドヒガンザクラの変種。台風で主幹が折れる前は高さ20m近くあったという。地元の人々に守られ、開花時にはライトアップされる。喜多郡内子町石畳東地区。

 
今回は宇和島泊だったので、朝の散策は宇和島城に行ってみました。宇和島駅前にはワシントンヤシの並木が続き、歩道には闘牛やうわじま牛鬼まつり、真珠など、宇和島ならではの図柄が描かれた平板やマンホールが埋め込んであります。築城当時の宇和島城は海に面した地形を生かし、五角形の城郭が特徴だったそうですが、現在は周囲の海も堀も埋め立てられ、緑に覆われた小高い城山はビルに囲まれています。長屋門をくぐると石段と坂道がありましたが、パンフレットを読むと草木が450種あるそうなので、植物観察をしながら坂道を歩くことにしました。
 イズセンリョウやムサシアブミの花、石垣にびっしり張り付いたマメヅタ、まだら模様の幹が特徴のカゴノキの大木などを見ながら上ると、天守が見えてきました。天守への石段の横には淡い黄緑色の葉の上に白いレースを広げたようなシャクの花が。近くにはオドリコソウも咲いていました。本丸への最後の階段を上がると、散り始めた桜に守られるように天守が建っていました。全国に現存する12天守のひとつで、国の重要文化財に指定されている天守は、小振りながら均整のとれた美しい姿をしています。早朝のため天守の内部には入れませんでしたが、天守台に上ると桜の先には宇和島港が。しばしの間たたずみ、海が目の前まで続いていた様子を想像してみました。帰りは井戸跡や石垣などを見ながら、前日の雨に濡れた古い石段を滑らないように注意しながら下り、急ぎ足でホテルへ。朝の運動にちょうどよい距離でした。
  
■左:宇和島城 別名鶴島城
国重要文化財(現存する12天守のひとつ) 『伊達十万石の城下町』宇和島市市街地の中心、標高約80mの小高い山の上に慶長6年(1,601年)『築城の名手』藤堂高虎による創建された。不等辺五角形の城郭の2辺は海に面した海城だったが、海も堀も埋め立てられ今の姿に。現在の天守は三重三階総塗籠式層塔型で伊達宗利の時代に大修理が行われ1,671年に完成した。城山は300年以上火災や伐採をまぬがれた貴重な植物を含め450もの種類が生育するという。
■中:シャク(杓)別名コジャク セリ科シャク属 
北海道から九州の湿り気のある山野などに生育する多年草。初夏から夏に花の咲く種類が多いセリ科の中で数少ない春咲き。5~6月に小さな白い花のかたまりを放射状につける。花弁は5弁で外側が大きい。葉は複葉で細かく切れ込みが入る。若葉は食用になる。名前の由来は北海道や東北でオオハナウドをシャク、シャクをコジャクと呼んでいたことからという説や、神事に用いられた『さく米』に実の形が似ていることから『さく』が転訛したという説がある。
■右:オドリコソウ(踊り子草)シソ科オドリコソウ属
北海道から九州の山野や道ばたの半日陰に群生する多年草。3~6月、白色または淡紅紫色の花を葉の元に輪状につける。東日本には白色が、西日本には淡紅紫色の花が多い。萼は5裂し針状。花の形が花笠をかぶった踊り子に見えることからついた名。


 
宇和島市から八幡浜市に向かう途中、宇和盆地の田園風景の中を走る予讃線に沿った道を進んでいると、田んぼの中に突然マンモスが現れました。稲藁でつくったマンモスの親子です。周辺には藁が積み上げられ塔の様な形をしたものが点々とあります。伊予石城駅の近くには同じ形のモニュメントも。あとで調べてみると、宇和地方で『わらぐろ』と呼ばれる脱穀した後の藁を保管するためのもので、日本ジオパークに登録されている宇和盆地の稲作文化の歴史や景観を伝える風物詩として守られているそうです。4月29日に開催される『宇和れんげまつり』のマスコット的存在の親子マンモスは、3月下旬頃から祭りが終わるまでの間、道行く人や予讃線の乗客を楽しませてくれるようです。
 
■左:わらマンモス
毎年4月29日に予讃線伊予石城駅近くの田んぼで行われる『宇和れんげまつり』のマスコットの稲藁アート。今年の親マンモス『わらグー』は高さ約7m、子マンモス『レンゲ』は約3m。約1tの稲藁が使われ、およそ70人が約1ヶ月かけて制作されたという。後方に見えるのは宇和盆地の秋から早春の風物詩だった『わらぐろ』。脱穀した後の稲藁を翌春まで田んぼに保管するために積み上げたもの。かつては全国で見られ地域により形や呼び方が異なる。脱穀の機械化により見られなくなったが、石城地区を中心に農村景観保全、文化保存、継承のための活動が行われている。
■右:ゲンゲ(紫雲英、翹揺)別名レンゲソウ(蓮華草)、レンゲ(蓮華) マメ科ゲンゲ属
中国原産の二年草。水田の肥料(緑肥)のために栽培され、各地で野生化している。4~5月に立ち上がった花茎の先に紅紫色をした蝶形の花を輪状につける。名前の由来は中国名『翹揺』の音読みから、『紫雲英』は一面に咲くと紫雲のように見えることから、花の形が蓮の花、蓮華座に似ているので、『蓮華(れんげ)』が転訛した。

 今回お話しをうかがったN様邸の庭は霧の中、八重咲きのツバキとモクレンやコブシ、ハナモモなどの春の花木が咲き、アプローチ両側のデージーの可愛い花が迎えてくれました。佐田岬一帯は三波川変成帯のため、あちらこちらで緑色片岩の石垣が見られますが、傾斜地にあるこちらの庭も道沿いや畑の土止めに緑色片岩が積まれ、石の間にはヒメウズなどの植物が育っています。
 N様は今までは植物に触れる機会が少なかったそうですが、広い庭のあるここに住むようになってからは、ご近所の方に教えてもらいながらガーデニングを楽しまれていて、アプローチを飾るデージーもいただいたものだとか。前のオーナー様が植えて茂っていた高木もご近所の方の協力で整理し、開放的な明るい庭に変わっていました。元々あった畑で果樹や野菜を栽培したり、新たにバラを植えたり、庭で過ごす時間がどんどん増えているそうです。次に訪れる時にはどんな庭になっているでしょうか。2匹の愛犬と一緒に暮らすN様は、花友だけでなく犬友との交流も楽しまれているそうです。他にもヤマガラやカワラヒワ、シジュウカラ、ホオジロなど、庭に訪れる野鳥のためにテラスに餌を置くなど、佐田岬の生活を満喫されているようです。
 
■左:霧の中のN様邸
地元の緑色片岩を積んだ石垣と、大きなログハウスに向かう緩やかにカーブしたアプローチが印象的。元々植えてあった樹々を整理し、開放的な庭に変わった。傾斜地なので排水がよく、落葉樹の高木が主体の庭は、葉の落ちる冬は陽が良く当たり、葉が茂る夏には木陰を作るので、春に咲く球根植物を育てるのにも向いている。
■右:ヒメウズ(姫烏頭)キンポウゲ科ヒメウズ属
本州関東地方以西から九州の山麓の畦や土手、石垣などに生育する多年草。3~5月に下向きに花をつける。薄紅がかった白色の花弁のように見える外側の5弁は萼で、内側の花弁は黄色みを帯びる。オダマキ属に含める考えもあることからわかるように、葉はオダマキに似ている。葉や根、実が烏頭(トリカブトの漢名)に似ていることからついた名。

 
N様のガーデニングのお師匠さんであるお向かいのO様邸には何度か伺ったことがありますが、こちらも大きな樹の太い枝が少なくなって、以前とはずいぶん雰囲気が変わっていました。海も見えるようになったそうですが、残念ながら霧の中。陽が当たる場所が増えたので、足元を埋め尽くすように咲いているタチツボスミレの群落がさらに増えそうです。

■O様邸のタチツボスミレ(立坪菫)スミレ科スミレ属
日本各地の平地から低山の日当りのよい場所に生育する多年草。4~5月に淡紫色の花をつける。名の由来は坪(庭や道端)に咲き花の盛りを過ぎると茎が立ち上がることから。スミレは花の後側にある距の部分が墨入れに似ることから転訛したという説や、摘み草だったので摘み入れ草が転訛したなどの説がある。この群落は以前樹を切って明るくなった場所一面に咲くようになったそうなので、明るい場所が増えた庭に新しい群落ができるかもしれない。

 
分譲地内にあるムカイパークへ向かうと、まだ枯れ草が目立つ広い草原にキジムシロやコハコベなどが点々と咲いていました。草の上に茶色い毛玉?と思って近づいてみると、ホバリングが得意なビロードツリアブでした。コロコロした体と長い口吻(こうふん)が特徴の成虫は、春にだけ現れる春の使者です。
この公園からは宇和海に浮かぶ島や別府、臼杵と八幡浜を結ぶフェリーが通るのがよく見えるので、天気のよい日に草原に座ってボーッとしたい場所ですが、この日は風が強いので早々に退散。周辺の道沿いには白い花を下向きにつけたハチジョウイチゴや、こん棒のような形をした花と茶色い実をつけているオオバヤシャブシなどがありました。オオバヤシャブシは治山事業に多く使われたため、道沿いなどでよく見かけます。この樹も造成時に播かれた物でしょうか。
   
■左:キジムシロ(雉筵、雉蓆)バラ科キジムシロ属
北海道から九州の山野に生育する多年草。4~5月に黄色い5弁の花をつける。ヘビイチゴのような赤い果実はつけない。キジムシロ属は花がよく似ているが、葉のつき方などで見分ける。キジムシロは3~9個の葉を羽状につける。同じく羽状の葉で西日本に分布するチツグリは葉が細く裏に白い毛が密生する。葉が広がる姿を鳥のキジが座るむしろにたとえついた名。
■左中:ビロードツリアブ(天鵞絨吊虻)の雄 ハエ目ツリアブ科 
北海道から九州の日当りのよい林縁などに生育する。春(3~5月)のみ発生する ビロードのような毛と長い口吻が特徴。雌雄の見分け方は複眼の間で、雌は空くが雄が空かない。幼虫はヒメハナバチの仲間の幼虫に寄生する。ホバリングが得意で上から吊ったように見えることからツリアブとついた。
■右中:ハチジョウイチゴ(八丈苺)別名ビロードカジイチゴ バラ科キイチゴ属
本州の伊豆諸島、渥美半島、紀伊半島、山口県、四国、九州の海岸に近い林縁などに生育する落葉低木。2~4月に白色5弁の花を下向きにつける。果実は6月頃に橙黄色に熟し食べられる。葉は3~5裂する。新枝、花茎、葉の裏にビロード状の毛が密生し、まれに刺がつく。よく似るカジイチゴは上向きに花がつく。八丈島で最初にみつかったことからついた名。
■右:オオバヤシャブシ(大葉夜叉五倍子、大葉夜叉付子)カバノキ科ハンノキ属
本州の福島県南部から和歌山県の太平洋側、伊豆諸島の海岸近くの山地に生育する落葉小高木。日本固有種。痩せ地でも生育することから治山や緑化用に用いられ、他の地域にも広がっている。3~4月、葉の展開時に太い尾状に雄花を、雄花より上部に上向きの雌花をつける。ヤシャブシより葉や実が大きい。果実は小さな松かさ状(堅果)で、凸凹している様子を夜叉にたとえた名がついた。五倍子(付子)は染料に用いられるヌルデの虫こぶのことで、ヤシャブシの実が代用とされたことから。

 
佐田岬は緑色片岩の地層を見ることができる場所が多く、分譲地の道沿いでも青緑色をした薄い板状の石が重なったような岩が顔を出している所があります。岩の間には晩秋に辺りを白く覆い尽くすように咲くノジギクなどの植物が生え、近くにはクスドイゲも。葉の付け根から生えている太く真っ直ぐな刺は、触って刺さらないように注意が必要な植物です。独特な香りのヒサカキの花や、オオイヌノフグリに似たフラサバソウが小さな花も咲いていました。

■緑色片岩
佐田岬は中央構造線の南側にある三波川変成帯に属し、大部分が緑色片岩で構成されている。この地方の緑色片岩は伊予青石とも呼ばれ、石材として珍重される。伊方町では古くから波止や石垣などに使われ、特徴的な景観を作っている。薄い板状の岩を積んだような層も海辺や道沿いなどで見ることができる

   
■左:ノジギク(野路菊)キク科キク属
本州瀬戸内海沿岸、四国、九州の海沿いに生育する多年草。11~1月に白い花をつける。主に海沿いに生えるが、内陸に生えることもある。高知の足摺岬から佐田岬の海岸に分布するアシズリノジギクは、葉が厚く反り気味になり、葉裏は毛で白く見え、表も白く縁取られたように見える。海沿いに自生するが、内陸の野路に咲いているのを見て名前がつけられた。
■左中:クスドイゲ イイギリ科クスドイゲ属
本州近畿以西から沖縄の海岸近くの岩場や日当りのよい林に生育する常緑低木から小高木。雌雄別株。8~9月に黄白色の小さな花をつける。果実は10~11月頃に黒く熟す。幹に枝分かれした刺がある。若木の刺は2~3cmで葉のつけ根につく。名前の由来は、クサフ(ハリネズミの古名)のイゲ(刺)クサフノイゲが転訛したという説がある。
■右中:ヒサカキ(姫榊、非榊) ツバキ科ヒサカキ属
本州から沖縄の山地の林床に生育する常緑低木~小高木。雌雄異株。3~4月、枝から下向きに壷型で帯黄白色の小さな花をつける。雌花は雄花より小さい。雄花はやや紫色を帯びる。10~11月に果実が紫黒色に熟す。サカキに似て全体が小さいので『姫榊』、サカキに似ているがサカキではないので『非榊』の説がある。
■右:フラサバソウ 別名ツタバイヌノフグリ(蔦葉犬の陰嚢)ゴマノハグサ(オオバコ)科クワガタソウ属
ユーラシア原産の帰化植物。日本全国の畑や道端に生育する二年草。4~5月に淡青紫色の小さな花をつける。オオイヌノフグリに似るが、花は色が薄く小さい。葉や萼に長い毛がある。名前は幕末に長崎で採集し標本を作ったフランスの植物学者フランシェとサヴァチェから。

 海の幸、山の幸に恵まれている佐田岬。中でも宇和海は日本有数のしらす漁場です。佐田岬に来たらしらすを食べないと、ということで、昼食は分譲地から30分ほどの川之浜にある『しらすパーク』へ向かいました。しらす丼は生のしらすと釜揚げしらすを選ぶことができますが、決められず2色丼に。鮮度の落ちるのが早いしらすを生で食べられるのは、目の前が漁場だからこそ。ふっくらした釜揚げしらすも、水揚げから加工までの時間が短いからでしょうか。
 ここには加工場見学コースもあり、釜茹で作業や、異物を丁寧に取り除く作業などをガラス越しに見ることができます。近頃チリメンモンスターをあまり見なくなったのは、この細かい作業があるからなのですね。
 
■しらす丼
宇和海に面した伊方町川之浜にある『しらすパーク』は、加工作業や細かい異物を取り除く作業などを見学することができる。併設された『しらす食堂』では、新鮮な生しらすや、ふっくらとした釜揚げしらすがたっぷり乗ったしらす丼を海を見ながら食べることができる。写真は生しらすと釜揚げしらすの2色丼。

 
この日は4月3日。雛祭りを4月上旬に祝う地域が多くありますが、愛媛県八幡浜市の真穴地区でも、長女の初節句を祝うひな祭り『真穴の座敷雛』が行われていました。たくさんのお雛様が座敷に並んでいる様子を想像しながら家の中に入ると、びっくり!満開の枝垂れ桜や樹々、池、三重塔、山並みなどの風景の中に内裏雛が座っていました。盆栽や塔などの小道具は地域の人が持ち寄り、桜の花びらも1枚1枚手づくり。多くの人々の協力でつくられた豪華な座敷雛は、4日には姿を消してしまうそうです。嫁入りが遅れないようにという願いは、どこも同じです。今年の座敷雛は1件だけでしたが、家ごとに異なるテーマでつくられるので、毎年楽しみに遠方から訪れる人も多いとか。年に2日だけの座敷雛を見られたことに感謝しつつ、この日の主役の可愛い笑顔に見送られながら真穴をあとにしました。
 
■真穴(まあな)の座敷雛
八幡市真穴地区で4月2日と3日に長女の初節句を健やかな成長と幸せを祈る伝統行事。八幡浜市無形民俗文化財。内裏雛だけでなく多数の盆栽や小道具を使い座敷いっぱいに庭園が作られる。お雛様の前には鉢盛料理が並ぶ。テーマやデザインを考え作業の指揮を執る棟梁(専業ではない)を中心に、のべ200人が約1週間かけて『ひな様建て』が行われる。数千枚もの桜の花びらも近所の女性達が手づくりするなど準備は数ヶ月にもおよぶ絢爛豪華な座敷雛は、翌日4日早朝から『ひな荒らし』と呼ばれる取り壊し作業で姿を消す。この2日間で2万人もの人が訪れるという。

 
佐田岬のほぼ中央にあるロイヤルシティ佐田岬リゾートは、佐田岬の海と山の魅力を存分に味わえる場所です。今回その魅力にもうひとつ、松山市からのドライブの途中や分譲地から見る桜の美しさが加わりました。常緑広葉樹が多い緑色の山肌をヤマザクラの花が霞のように美しく染める様子は、落葉樹が多い北国の春の様子とは違った味わいがあります。ヤマザクラは樹によって花の色に濃淡があるので、場所によって彩りが変わり、飽きることない景色です。
 また今回は大切に守られてきた枝垂れ桜、歴史を彩る桜など、たくさんの桜を見ることができました。見上げたり見下ろしたり、遠くから眺めたり触れてみたり、様々な角度から鑑賞できるのも、佐田岬の複雑な地形ならではでしょう。佐田岬の桜を巡るドライブをぜひ味わってみてください。

■ヤマザクラ(山桜)バラ科サクラ属
本州(宮城県以西)から九州の山野に生育する落葉高木。日本の桜の代表種で、古くから親しまれてきた。奈良の吉野山はほとんどがヤマザクラ。茶色や緑色の若葉が展開する3月下旬から4月中旬に淡紅色の花をつける。変異が多く、開花時期、花色、樹形など様々な個体がある。ソメイヨシノは開花時に葉が展開しない。よく似ているカスミザクラは開花が遅く四国には少ない。サクラは『木花開耶姫(このはなさくやひめ)』の『さくや』が転訛したという説、『さ』(穀物の霊を表す古語)と『くら』(神霊が鎮座する)で穀霊の集まる依り代を表すという説など、諸説ある。

※写真は平成27年4月撮影

 

担当スタッフ紹介

ガイド写真

自然観察指導員1級造園施工管理技士
グリーンアドバイザー

関口 亮子

群馬県前橋市出身、恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒業、現在「むろたに園芸研究所」勤務、設計、草花植栽、園芸講座講師を担当、特に自然風の庭造りを得意とする。

 

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