海幸探訪～黄泉の国への入り口「黄泉比良坂」～

数々の神話が語り継がれる島根県。

県内には神話の舞台として知られる
観光スポットが数多く存在します。

今回はそんな島根県ならではの
ディープなスポットをご紹介したいと思います。

国道9号線を米子から松江方面に車を走らせ
到着した場所は松江市東出雲町の「黄泉比良坂」。

あの世（黄泉の国）とこの世を結ぶ
境目として知られる場所です。

駐車場に車を停め、黄泉比良坂へ向かう途中には
濁った池があり、鯉が泳いでいたのですが、
その近くに何やら黒い物体が。

よ～く見てみると
それは大量のオタマジャクシでした！

その光景はあの世とこの世を結ぶ境目という
シチュエーションと相まって、
ちょっと不気味な感じがしました。

そして見えてきたのは2本の石柱。

石柱はしめ縄で結ばれ、
結界となっているようです。

石柱を通ってすぐ右手には黄泉比良坂伝説が
刻まれた石板があります...

男神イザナギは妻である女神イザナミと
一緒に国づくりを行い、淡路、四国、隠岐、九州、壱岐、
対馬、佐渡、本州といわゆる大八洲の国土を作りました。

次にその国に住む様々な神々を産み、
最後に火の神であるカグツチを産んだことがきっかけで
イザナミは亡くなってしまいます。

最愛の妻を亡くし悲しみにくれるイザナギは、
イザナミに逢いに死者の世界である「黄泉の国」へと向かいます。

そして、イザナミが眠る御殿の扉をたたき
「もう一度国づくりを手伝ってほしいから、
戻ってきてほしい」と願います。

するとイザナミは扉の向こうから
「黄泉の国の神々に相談してみます。

ただし、私がもう一度ここへ来るまで決して
中に入ってはいけません。」と答えます。

しかし、イザナミはいつまで経っても
戻ってくることはなく、痺れを切らしたイザナギは
約束を破り扉をあけ中へと入っていきます。

そこでイザナギが目にしたのは、
腐敗して蛆にたかられ変わり果てたイザナミの姿。

その姿に驚いたイザナギは恐ろしくなり、
地上へ向かって逃げ出し、姿を見られ怒ったイザナミは
イザナギを追いかけます。

イザナギは黄泉の国と地上との境目である黄泉比良坂まで
なんとか逃げのび、地上側の出口を大岩で塞ぎます。

イザナミは岩の向こうから「この仕返しに
今日からあなたの国の人を毎日1000人殺してやると」と言い、
イザナギは「それなら毎日1500人の子供が産まれるようにしよう」
と言い黄泉比良坂を後にします。

イザナギが出口を塞いだ岩といわれているのが、
こちらの千引石(ちびきのいわ)。

千引石とは千人の人の力でようやく
引けるような大きな岩ということ。

この大きな岩の下には、死者の世界へと続く
穴が開いているのでしょうか・・・。

ところでなぜこの地が黄泉の国への
入り口とされているのか。

古事記では、黄泉の国とこの世との境が
「黄泉比良坂」であり、その場所は出雲国の伊賦夜坂（いふやさか）で
あると記されていることに由来します。

敷地内には1940年に建立された
「神蹟黄泉比良坂伊賦夜坂伝説地」の文字が刻まれた
石碑もありました。

黄泉の国への入り口ということもあり、
独特の空気感がある黄泉比良坂ですが、
「逢いたい人に、もう一度逢える場所」としても知られ、
2010年に公開された映画「瞬またたき」では、
ラストを飾る重要なシーンのロケ地として
選ばれた場所でもあります。

次に訪れたのは黄泉比良坂からほど近い
揖夜神社（いやじんじゃ）。

イザナミを主祭神とし、黄泉比良坂と共に
黄泉の国とのつながりが深い神社です。

その歴史は古く、出雲風土記や
日本書記にも登場します。

今回は黄泉の国への入り口という、
ちょっと変わったスポットをご紹介しました。

神話や歴史好きの方にオススメのスポットです。

別荘地から約37.6km

撮影日：2017/4/27

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