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宇和海から昇る朝陽と瀬戸内海に沈む夕陽を楽しむスローライフ。

スタッフからの現地便り

花鳥風月を愛でる繊細な日本人の感性

  • 更新日:2015年11月02日
  • カテゴリ:歴史
桂離宮、修学院離宮などを参考にして京都の名工や絵師を招き、
長い年月と巨額の費用をかけて造られた愛媛県大洲市「臥龍山荘」。



文禄年間(1593~1596)に大洲城主藤堂高虎の重臣渡部勘兵衛
によって初めて造られ、幕末まで藩主の優賞地となっていた
にも関わらず荒れ果てていた庭園を、明治の貿易商河内寅次郎が
情熱の全てを注ぎ、趣味の限りを尽くして蘇らせた風雅な山荘です。



河内氏が最も苦心し、構想だけで10年、工期に4年もの歳月をかけた
「臥龍院」、「不老院」「知止(ちし)庵」のそれぞれ素晴らしい3つの建物と、
神戸の庭師が10年をかけて完成させた庭園は、冨士・梁瀬の山々と
妙法寺河原という肱川河畔の中でも優れた景勝地を借景にし、
優雅でありながら凛とした美しさを持って私たちを迎えてくれます。


四季折々に姿を変える自然の営みに見える「美」を愛する感性の豊かさ、
それをさりげなく、それでいてあらゆるところに取り入れ調和させる見事な技術。
天井の高さや窓の位置、光と風の通り道、全てを計算して
空間に深い意味を持たせ、作り手の心を感じさせる…



例えば臥龍院の「霞月(かげつ)の間」にある鼠色の襖は薄暮を意味し、
引き手には夕暮れに見られる蝙蝠をかたどり、
丸窓に奥の仏間の灯明を映し出して月と見なしています。



「清吹(せいすい)の間」にある欄間は水玉・菊水・花筏と
水にちなんだ意匠を凝らし、庭園に置かれた庭石の一つひとつにも
様々な石積方式が取り入れられ、飛び石にも「手鞠石」「臼石」「げんだ石」
といった銘石が使われています。



生きた槙の木を柱にして建てられ数寄屋造りの「不老庵」は、
建物自体を舟に見立てた巧妙な趣向が凝らされています。
便利さや快適さを求め、慌ただしい時間の中に生きる。



現代の私たちがすでに失ってしまったように思われる
繊細な感性と技術が凝縮された贅沢で貴重な空間であり、
私たちが日本人であることを思い出させてくれる
きっかけを与えてくれているような気がします。

愛媛県大洲市「臥龍山荘」
当分譲地より約45Km・車で約1時間
写真は平成26年11月撮影
 

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