カラフルで楽しい30基近い神輿の後ろにドーンと控える大神輿。霧島市役所前に作られた特設の夏まつりステージで威勢の良い太鼓の競演が始まる頃、歩行者天国になった道路や市役所前の広場には、何処からともなく法被姿の人達が集まって来ます。幼稚園児の子どもみこし、小学生の元気みこしに中学生の舞鶴御輿。子ども達の年齢に合わせた手作りの軽いお神輿から地域の特性を生かした特製御輿など。その後ろに控えるのはドーンと大きな国分寺御輿の登場です。
1トン近い御輿を30人足らずの男達で担ぎ上げ、渾身の力をこめて必死に駆け抜ける競争の時に、事故が無いよう怪我が無いよう、周囲の警固に務めるのも御輿会の役目。子ども達を含めたたくさんのおみこしが街中を練り歩く『五通り山見せ』が終わると、いよいよ締込み姿の男達の見せ場である「国分寺御輿競争」が始まります。
夏まつりステージ前から市民会館前付近の折り返し地点を引き返す150mのタイムレース。参加する9つの団体の名前が順番に読み上げられてスタート位置に着き、「スタート1分前」と告げられてカウントダウンが始まると一気に緊張感が高まる。
大太鼓の合図と共に動き出した大きな御輿の迫力と気合いに息を呑んだ直後には、必死の形相で担ぐ男達に降り注ぐ勢い水と見物人の熱い声援。わずか1分足らずのドラマに全身全霊を掛ける男達の真剣な戦いに、周囲の雰囲気は盛り上がる。御輿が走り抜ける道筋の安全と担ぎ手の様子に目を配る御輿会メンバーの緊張もすさまじく、気迫が伝わってきます。
タイムを競う競争ではあるものの、勝ち負けよりも参加して重い御輿を担ぎ終えた時の爽快感。「達成感があるよね~。」と仲間同士肩を叩き合っていた若い担ぎ手達の会話が耳に入って嬉しくなりました。参加してこその祭りであり、係わり合いを創り出してこその俺達の祭となることを実感。年々御輿の担ぎ手が少なくなったり、昔ながらの祭りの情緒が失われつつあったりと、昨今の寂しい状況を耳にすることはあるものの、頑張って伝統を守ろうとする人達もたくさん居ることを知った気持ちの良い祭の夜でした。
霧島国分夏まつり(毎年7月「海の日」前日の土日)
霧島市国分シビックセンター(市役所)前
鹿児島県霧島市国分中央3丁目45-1
上記の写真はすべて平成23年7月に撮影されたものです。
■アクセス 霧島高千穂リゾートランドより約22㎞(車で約33分)