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スタッフからの現地便り

空を覆う紫の天蓋

  • 更新日:2009年06月09日
  • カテゴリ:四季だより

桜、牡丹、菖蒲、紫陽花…
お寺や神社には花の名所と言われるところが多いように思いませんか?
静かな境内が花の季節だけ鮮やかな色に彩られ、芳しい香りに包まれる。
なんだかとっても日本的な花の美しさを感じます。

 
水の都 西条市の加茂川沿いに、
藤で有名なお寺「禎祥寺(ていしょうじ)観音堂(分所地より約136km) があると聞いて行ってみることに。
県と市の天然記念物に指定されている、なんと樹齢約400年の藤だそうです。
高さは3m、東西に16m、南北に14mもの枝を張る大木。

さて、どんなみごとな花を見せてくれることでしょう。
 
手書きの案内板を辿っていきます。
控えめで、ちょっと目立たない看板でしたが、ちゃんと導いてくれました。
臨時の駐車場にはお餅や和菓子を売る屋台も出ていて、お花見の雰囲気が出ています。
曇り空の日でしたが、しっとりした空気もなかなかよい風情です。
 
お寺は加茂川の土手下にあり、段差が5、6mはあるでしょうか。
まずは藤棚の上から見てみますと… 



一面に若葉が絨毯のように生い茂り、間に紫色の花が見えています。
 

土手を降りてみると…



今まで見たことのないほど長い長い房にびっしりと花が連なり、隙間もなく空を覆っているのです。
日光さえ花が遮ってしまうほど密集して咲く藤は、それはもう見事!という言葉しかありません。
まるで花の重さで房が伸びてしまったのかと思うほどの長い花房です。
 









辺り一面甘い香りに満ち、蜂が蜜を集めて飛び回る羽音が小さく反響しています。
心静かに日本の春を感じる… 
花がまるで天蓋のように外界の喧噪を遮断してくれていました。

 
日本固有種として、ノダフジ、ヤマフジがありますが、禎祥寺の藤はノダフジです。

ヤマフジと比べて房が長くなるのが特徴です。
 



ところで、この藤の花、食べられるそうです。
蔓や種にはポリフェノールが含まれていて、体質改善にも役立つという優れもの。
花は天ぷらや、塩漬けにして花茶にできるそうです。
 
でも、やはり藤といえば「食べられる」というより、源氏物語の「藤壷」、日本舞踊の「藤娘」などに代表される、日本の代表的な美のイメージですね。
 
(写真はすべて平成21年5月撮影)

 

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