かつて藩政時代に宇和島藩によって整備された松野町の松丸地区は、
伊予と土佐を結ぶ交通の要地でした。

旅籠が何軒も並び、米や酒・蝋などの商業が発達し、
木材産業も栄えていたまちは多くに人が行き交い、賑わいをみせていました。

今もそのまちなみは古の繁栄を残し、
古色蒼然とした旧家や商家が風情ある姿を伝えています。

 

町の中央には地酒「野武士」を醸造する大きな造り酒屋があり、
白壁のどっしりした蔵群とともに、まちのシンボル的な存在として
なんとも言われぬ風情を醸し出してくれています。

瓦屋根に白壁の建物が並ぶ静かな佇まいは、
歴史の重みを私たちに感じさせてくれます。

 

また、“あなたなる 夜雨の葛の あなたかな”で名を知られた
俳人・芝不器男の生家を改築した記念館もあります。

松丸駅のすぐ近くにあるこの記念館、近代化された駅前の風情とは一転して、
しっとりとした情緒が漂う純和風の建物です。

苔むした日本庭園や囲炉裏のある居間など、なかなか見応えがあります。

 

松丸街道以外にも、商人が行き来した吉田の魚棚通りや津島の岩松界隈、
三間のへんろ道など風情あるまちなみが残っています。

 

たまにはこういうしっとりした風情を楽しみ、
歴史を学ぶまちなみウォッチングも楽しいものですね。

 
愛媛県・北宇和郡松野町・『松丸街道』
ロイヤルシティ佐田岬リゾートより約70Km・車で約1時間30分

※写真は2012年1月撮影