Housing
Meister
福岡県の西端、唐津湾に面する土地を手に入れて実現した家は、建坪約30坪のコンパクトさを心地良さに変える工夫をいくつも取り入れています。
リビング・ダイニングから続くウッドデッキは、腰を下ろすと砂浜が視界から消え、海に向かってせり出しているような感覚に。晴れた日にはここで食事をとったり、訪れる人とともに杯を傾けたり、自由に楽しむことができます。リビングよりも広く設計したこの場所が、この家一番の集いの場となっています。
夕日を眺めながら料理をしたいという夫の希望をかなえるため、システムキッチンを斜めに設置。そうすることでキッチンの左右に動線が生まれ、同時に利便性も高めることができました。つややかな赤は、この場所のアクセントカラーに。また、壁の片落ち階段が空間に変化をもたらすとともに、ちょっとした腰掛け代わりにもなっています。
キッチン周りの家電や食器、食品などのこまごまとした収納物は、食品庫に集約。居住空間からは一切見えない、大容量で機能的なバックヤードです。また、サーフボードやバイク、アウトドア用品はデッキ側から出し入れできる車庫に収納。外で使うものを気兼ねなくしまえる場所です。
玄関からリビングへのルートは2通り。家族玄関を通ると途中に手洗いとシューズボックス、上着を掛けておくクローゼットがあり、帰宅後の行動がスムーズです。ゲストは手前の来客用玄関を通って室内へ向かいます。室内奥へ視線を移した瞬間に目に入る海の風景が心地いいサプライズとなってゲストを迎えます。
2階のバスルームはバルコニーに面した位置にレイアウト。海に面して大きな窓を設けており、朝日や夕日にきらめく水面を眺めながら贅沢なバスタイムを過ごすことができます。寝室やファミリークローゼットも2階に設けているので、着替え、洗濯、収納という一連の流れを2階で完結でき、家事の効率もとても良い間取りとなっています。
限られた空間を大きく活用するため、さまざまな用途に対応する3畳の和室を3室設けました。1階の和室は主に書斎用。2階北側の海が見える和室は主寝室に。残る1室は将来の子ども部屋として設けましたが、必要になるまでには趣味室やゲストルームとして使います。また、部屋を区切る建具はできるだけ設けず、ロールカーテンを設置。広いワンルームの中にいくつかのコーナーを設ける感覚で設計しました。
一級建築士、インテリアプランナー
設計士として最も喜びを感じるのは、お引渡しの日、出会いから今日までをお客さまと一緒に振り返る時という。子育ての経験は設計における目線に変化をもたらしたと感じている。
※プロフィール等の情報は、原稿作成時のものです。
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