世界的なインテリアブランドと、日本の新しい住を創造し続けてきたハウスメーカーで、自分たちが「かっこいい!」と思える家をつくろう。BoConcept(ボーコンセプト)とダイワハウスが長年温めてきた夢が、木造住宅「BoConcept×xevo」として実現しました。この家の魅力とは?創り手のこだわりとは?ボーコンセプトとダイワハウスのスタッフがその想いを語ります。
BoConcept南青山
ダイワハウス BoConceptが似合う家
株式会社ボーコンセプト・ジャパン
代表取締役 篠田昭直さん
篠田:ボーコンセプトは1952年、デンマークで創業しました。パリにコンセプトショップの1号店をつくり、それからロンドン、ニューヨーク、東京など、今では世界62カ国で260店舗以上を展開しています。「Bo」は、デンマーク語で「生活」「住まう」という意味で、暮らす人の生活に合わせて、上質で機能的なモダンデザインのインテリアをカスタマイズしてお届けしています。
岩永:当社とボーコンセプトの出会いは9年前でしょうか。分譲住宅のモデルハウスをボーコンセプトの家具でコーディネートしたのがきっかけでした。その後、デザイン戦略を重視した分譲住宅の開発に、ボーコンセプトの田中さんやインテリアコーディネーターの鹿内さんに参加してもらい、そこから「本格的にコラボレートした住宅をつくりたいね」という思いを小さな灯りのように点していたんです。
田中:今回のプロジェクトは、岩永さんとのお付き合いの中でどんどん構想が膨らんでいって。ずっと考えていたので話が決まった時は嬉しかったですね。
篠田:ボーコンセプトとしても初めての取り組みなんですよ。これまでのコラボレーションは、今年だったら佐藤オオキさん率いるデザインオフィスnendo、去年はメルセデス・ベンツのsmart、一昨年はニューヨークのデザイナーKarim Rashidさん、と家具や車などではありましたが、住宅メーカーとのコラボレーションはデンマークや他の国でも聞いたことがありません。
大和ハウス工業株式会社
岩永哲也
岩永:篠田社長に快諾していただき、当社の社内での機運も高まって、今回ようやく建物の外装から内装、家具まですべてを含めたコラボレーションが実現しました。田中さんや鹿内さんとはこれまでも一緒にいくつか住宅を手がけていたので、チームとしての考えや納得できる形がある程度できあがっていて非常にやりやすかったですね。そこに当社の商品開発担当者も加わって「この色や形のほうが格好いいね」「こっちの素材のほうがメンテナンスしやすいよ」と、ボーコンセプトのブランドイメージとダイワハウスとしての性能・品質とのバランスを取りながらつくりあげていきました。お互いの良いところをうまくミックスできたのではないでしょうか。
篠田:完成した住宅は、私たちのインテリアのコンセプトでもある「URBAN DANISH DESIGN(アーバン デンマーク デザイン)」をよく表現していただいて、家具とのマッチングが素晴らしい。家と家具に違和感やかい離が全くない、一体感のある空間になったと思います。
株式会社ボーコンセプト・ジャパン
田中正志さん
鹿内:私は、ボーコンセプトの家具が持つ魅力のひとつに「機能性」があると考えています。たとえば壁面キャビネットや壁面シェルフ(棚)など。こういった壁付けの家具を取り入れると、機能的であると同時に、空間の雰囲気もすごく良くなるんです。
田中:ボーコンセプトには壁付けの商品がたくさんありますが、今回手掛けた「BoConcept×xevo」は、そういった家具が十分に活かせる空間になっていますよね。一般の戸建住宅やマンションでは、広い壁面が無い部屋が多いです。
岩永:壁については、設計の際に「幅が3m以上ある壁をつくる」というプランニングルールを設けました。あえて大きな壁をつくることで、壁に棚を取り付けるとか、TVボードを置くとか、ボーコンセプトの提案する空間が演出できるようにしています。
鹿内:下地の問題もありますよね。壁付けの家具を取り入れたくても、壁に下地が入っていない場所には付けることができません。
岩永:一般的な住宅で壁面全体に下地を入れることは、まずありませんね。
鹿内:しかも完成した住宅に後から下地を入れるのって、すごくお金がかかる。
有限会社type
鹿内豪彦さん
篠田:お店でも、壁付け家具をご検討されるお客さまに「下地が必要ですよ」とご説明すると皆さん、手間や工事費を考えて諦めてしまいます。
鹿内:ですから「BoConcept×xevo」は、リビングの壁全面に下地を入れてもらいました。元々、ダイワハウスの家には収納力があるので、生活感があるモノはしまっておけます。そこに、ボーコンセプトの壁付け家具を加えると、だれでもおしゃれな空間ができるんです。照明に関しても同じで、天井に引っ掛けシーリングをいっぱい付けがちなところ、今回はダイニングテーブルの真上にあたる部分に引っ掛けシーリングを1カ所だけ、あとはダウンライトと間接照明でいきましょう、と決めました。空間全体のトータルバランスを考えているので、そこへお客さまがどんな遊びを持ってきてもぶれない。一定レベル以上のセンスのいい部屋に仕上がるようになっています。
篠田:部屋の壁紙にも、店舗のディスプレイで使っているオリジナルのウォールペーパーを戸建住宅で初めて取り入れてもらって。ですので、お客さまが住宅カタログの中から好きなものを選んでいくだけで、ショップでご提案している空間に近づけるようになりました。
岩永:なぜ、そうできるかというと、デザインコードを決めているからなんです。普通、カタログで気に入った住宅を建てようとしても、敷地の広さや形はそれぞれ違いますし、個々のご要望に合わせてプランを詰めていくと、どうしてもカタログどおりにはなりません。ただ、「BoConcept×xevo」の場合、家の中だけでなく外観まですべて含めて、カラーリングや素材などの取り決め事項をつくっているので、ぶれがないのです。
鹿内:オプションに関しても、できるだけ自然本来の素材を選べるようにしてもらいました。本物に近しい樹脂シートなども悪くはないんですが、無垢材や石、タイルといった本物を使う喜びを追求したい、と。
岩永:そこはせめぎ合いでしたね。本物の高価な素材は、使おうと思えばいくらでも使えます。だけど、手が届く家でなくては意味がない。無垢材は家のフロア全体に使うと金額が高くなりすぎるのでリビングダイニングだけにしたり、室内の建具もオリジナルではなく汎用品を使っています。世の中に標準的にあるモノから、デザインコードに照らし合わせてセレクトして、お求めやすい価格内におさまるようにしています。
岩永:「BoConcept×xevo」は発表後、想像以上の反響をいただいています。
篠田:うちでも全国の店頭に住宅カタログを置いていたんですが、あっという間になくなってしまいました。
岩永:お客さまの中には「外観も間取りもカタログのまま、土地もそのとおりに建てられるところを探してほしい」と依頼される方も…。私は住宅の仕事を20年以上やっていますが、こんな経験は今までありませんでした。「こんな家を探していた」とおっしゃる方がとても多い。これこそ、私たちが目指していたことなんです。住宅の企画開発では、高額商品なだけに多くの人に良いと思われるモノを目指します。モノづくりの姿勢としては当然ですが、今回、私たちは「万人受けはしなくていい」と考えたんです。万人受けするモノって平均点は高いけれど、人によっては合格点にはなりません。だから「BoConcept×xevo」は、こんなデザインが好きだと思う人の琴線に触れて、その人にとって最高のモノになればいい。だから、お客さまの反応は本当に嬉しかったですね。
篠田:ボーコンセプトに関心を持たれるお客さまも増え、企業の壁を越えてダイワハウスと協働するクロス・ファンクションは、私たちにとっても新しい一歩になりました。
岩永:2つのブランドが協力してつくりあげたことは、「BoConcept×xevo」に暮らすお客さまにとってもメリットになるのではないでしょうか。家を建てて長く住んでいると、生活スタイルや家族構成が変化して、必要な家具が変わったり、モノやパーツも変えたくなるじゃないですか?そんな時に好きなブランドや信頼できるブランドがあると、相談したり任せられて楽だと思うんですね。創業以来、60年にわたってモダンデザインを貫いてきたボーコンセプトなら、将来発表される新作家具の根底にも変わらないアイデンティティーが流れているはずです。箱となるxevoは、そこに共感してつくった家なので、どんな新作家具を置いてもインテリアがぶれることはありません。ハウスメーカーだけでも、インテリアブランドだけでもできなかった、時代を超えて家とインテリアをトータルコーディネートできることが「BoConcept×xevo」の魅力なのです。